窓から入ってくる光だけで | 詩はどこにあるか

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窓から入ってくる光だけで

窓から入ってくる光だけで本を読んでいた。
その本のなかでは、毎日窓の下を白い野球帽が通る。
しばらくして夕刊が届けられる。
だが、新聞は鏡のなかに折りたたまれたままの形で映っている。

窓の外を通る野球帽には、本のなかでおきていることはわからない。
光がガラスの反射して見えないのではなく、
光がガラスのなかにとどまり、
視線を拒絶している。

野球帽は、配達に行けと言われる前に夕刊を読むのが好きだ。
事件のない日は、動物園で生まれたキリンが
頸を伸ばして水を飲んだということが書かれている。

--ということも本に書かれているか、本の外で起きているのか。
はやく読み終わりたいのに、
はやく読み終わりたいと思う気持ちだけが繰り返えされる。


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発売は限定20部。部数に達し次第締め切り。
なお「谷川俊太郎の『こころ』を読む」(思潮社、1800円)とセットの場合は2000円
「リッツッス詩選集」(作品社、4400円、中井久夫との共著)とセットの場合は4500円
「谷川俊太郎の『こころ』を読む」「リッツッス詩選集」「雨の降る映画を」三冊セットの場合は6000円
です。