長距離列車の、通路をはさんだ数列前の席で
彼が本を読んでいる。
同じ光景を見たことがある。
夕日が窓から入ってきて、その黄色い光が長い間とどまっていた。
私が本を読みながら、
彼を見ていることを彼は知らないだろう。
入ってきた光が動き、彼の輪郭に静かな影をつくった。
本の余白に私がメモしたことも。
*

新詩集『雨の降る映画を』(10月10日発行、象形文字編集室、送料込1000円)の購読をご希望の方はメール(panchan@mars.dti.ne.jp)でお知らせください。
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なお「谷川俊太郎の『こころ』を読む」(思潮社、1800円)とセットの場合は2000円
「リッツッス詩選集」(作品社、4400円、中井久夫との共著)とセットの場合は4500円
「谷川俊太郎の『こころ』を読む」「リッツッス詩選集」「雨の降る映画を」三冊セットの場合は6000円
です。