禿げ頭のピカソが | 詩はどこにあるか

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禿げ頭のピカソが



禿げ頭のピカソが砂に絵を描いている
半ズボンから禿げ頭と同じ輝きの筋肉がはみ出る
太い腕、太い指でペニスのように太い棒をつかんで円を描く
強靱な輪郭からぎょろりとした眼が飛び出してくる
太陽よりもまっすぐな視線でにらみ返し角をつけくわえる

荒々しくえぐられる砂の奥のきのうの影
乾いて透明に駆け抜けるあしたの光
砂はいつまでおぼえているだろうか、その絵を
幾千幾万の中から選ばれて極彩色よりも強い線になったその日を

打ち寄せる夕暮れの波が消したのか
疲れを知らない沖からの風が消したのか
子どものやわらかな裸足が踏み荒らしたのか
永遠を拒絶した禿げ頭のピカソの自画像