階段を下りて、
階段を降りて本屋に入る。
三つ目の棚のところで先生が数人の学生に対して話している。
棚の構成と本の内容、さらに装丁について説明する。
美術館で絵を取り囲んで、その背景と見どころを語るみたいに。
ひとりが作家の名前を挙げて質問し、
ひとりが別の詩人との関係、相互の影響について先生のかわりに主張する。
ことばは、その周辺を歩きながら、
学生たちがメモするノートを覗き込んだ。
それから彼らが固まって棚を移動するのについていって、追い越して、
階段を上って町に出た。
芽吹く前の樹木のせつない匂い。
街灯にバス停で待つひとの影が浮かんでいる。