ローランド・エメリッヒ監督「ホワイトハウス・ダウン」(★★★) | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

監督 ローランド・エメリッヒ 出演 チャニング・テイタム、ジェイミー・フォックス


 アメリカ映画は最近、家族愛が譲れぬテーマのようである。世界を救うのは大義名分ではなく家族愛。愛する家族を守るために闘う--その結果が国を救うということになる。世界を救うということになる。
 帝国主義をカムフラージュするための方便かな……。
 ということは、あまり話題にする必要もないのかもしれない。
 この映画がおもしろいのは、一方に核兵器という巨大な兵器があり、他方にペンではなくてユーチューブという庶民の兵器があるということだね。綿密に仕組んだ計画も、瞬間的に盗られた映像の公開には負けてしまう。チャンスさえあれば誰でも情報を公開し、世論を味方にすることができる。
 まあ、いいことではあるんだけれどね。
 さらに。
 だれもがスマートフォンをもつ時代(私はもっていないけれどね)、それを逆手につかってポケットベルを活用して情報を伝達する。だれも、そんなものをつかうと思っていないから、チェックしない。そういう情報網の「盲点」をつく。--これは、おもしろかったなあ。
 やったね、という感じ。
 で、そういう「小業」をていねいに描いて、一方で大仕掛けの銃撃戦、だけではなく戦闘機や戦車まで出てくる。視線のひきつけどころが、とても変化に富んでいる。情報量が多くて、それが、ひとつひとつ光っている。
 カーチェイス(?)がホワイトハウスの敷地内に限定されているなんて、笑っちゃうよね。マリリン・モンローとケネディ大統領の密会のための秘密の廊下、なんてくすぐりもきちんと折り込んで、伏線もしっかりしている。
 これは、まあ、脚本の勝利だね。
                        (2013年08月28日、天神東宝5)
インデペンデンス・デイ [Blu-ray]
クリエーター情報なし
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン