あの日、 | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

あの日、雨の降る日曜日へとことばは帰っていく。川向こうの家の空き地に、冬のあいだも緑だった木々を背に、やわらかな黄なりの花が開いていた。こまかい雨にぬれて溶けだした色が輪郭をなくし、藍色に見える木々の暗さのなかに滲んでゆく。風のかたちのように膨らんでは散らばっていく雨の濃淡の叢に、それはとても似合っていた。ふるさとを離れて幾年かがすぎたら、きっと見るに違いない絵を見るように感じた。それを詩に書こうと思った。あの日。しかし、ことばは冷え冷えとして、動いてはくれなかった。遠近法のない曲がりくねった道をバスがやってきて、ことばの空洞を通り抜けて、見えない方向へ去って行ったのだった。



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で詩のリハビリをしています。

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