「心の底から ただいま」 | 詩はどこにあるか

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「心の底から ただいま」(読売新聞、2010年10月14日朝刊)

 チリの落盤事故から作業員の救出がつづいている。新聞、テレビで報道がつづいている。そのなかで、あ、これはいいなあ、と思ったのが読売新聞10月14日朝刊のグラフ(西部本社版、 5面)の見出しである。

心の底から ただいま

 人は帰って来たとき「ただいま」という。これは普通のことである。地底から奇蹟の生還をした人たちも「ただいま」と言っただろう。こういうとき、「地底から ただいま」という見出しが考えられる。
 シャトルから帰って来た宇宙飛行士の見出しに「宇宙のてっぺんからただいま」という見出しを読んだ記憶がある。そういう流儀でいけば「地底から ただいま」。
 でも、その「地」を「心」に置き換えて「心の底から ただいま」。

 あ、びっくりしたなあ。
 たしかにそうなのだ。落盤事故でとじこめられていたひとたちは、毎日毎日地上へ生還することを願っていた。「ただいま」は普通のあいさつではないのだ。心の底からあふれてきたことばなのだ。
 その喜びが伝わってくる。

 こういう見出しを読むと、とてもうれしくなる。