マノエル・ド・オリヴェィラ監督「コロンブス 永遠の海」予告編(★★★★★) | 詩はどこにあるか

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 KBCシネマで、マノエル・ド・オリヴェィラ監督「コロンブス 永遠の海」予告編を見た。美しさに息ができなくなる。
 オリヴェィラのカメラは相変わらずどっしりしている。動き回りはしない。ただそこにあって、そこにあるものを映し出すだけである。それなのに美しい。それだから美しいというべきなのか。
 なんといっても海がすばらしい。海というのは、誰がとっても同じようなものである。海の方がカメラのフレームより大きいから、スクリーンに映る海は海の一部である。そうであるはずであるが、
 オリヴェィラの海は違う。色がおだやかで、どこまでもどこまでも遠い。遠くて、しかし、とても懐かしい。
 予告編でみる限り、この映画はコロンブスの見た世界(コロンブスの見た海)を夫婦がたどる映画である。若いときの夫婦、晩年の夫婦が出てくる。その夫婦の時間を超越して、海の時間がある。海の色、空の色、雲の色がある。(もちろんほかにも、街の色、建物の色があるのだが、海が一番印象的である。)
 その、二人のみつめる時間を超越した海が、時間を超越する力をそのまま利用して、そこにはいないはずのコロンブスの見た海につながる。いま、目の前にある海がコロンブスの海になるのではなく、コロンブスにつながる海になる。
 その「つながる」という感じのなかに、なつかしい、かなしい、うれしい、おだやかなものが拡がる。

 予告編で、こんなに胸が震えるのは久しぶりである。7月まで待ちきれない。