詩はどこにあるか(77)高橋睦郎『語らざる者をして語らしめよ』(思潮社) 「13」。「無数」ということばが出てくる。私の名は無数にあるいや そうではなくておまえたちの 私を呼び起こす起こしかたが無数にある ということ (32ページ) すべての「詩」、あるいは文学、さらには芸術のありようを定義したことばとも読める。 私たち人間は無数に存在する。対象をどうとらえるか、対象のなかから何を引き出すか(呼び起こすか)。その数に限定はない。 それが「無」である。