斎藤茂吉『万葉秀歌』(16)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)
否といへど強ふる志斐のが強ひがたりこの頃聞かずてわれ恋ひにけり 持統天皇
否といへど語れ語れと詔らせこそ志斐いは奏せ強語りと詔る 志斐嫗
この軽いやりとりは楽しい。音の繰り返しが効果的だ。いかにも、「軽く」やりとしているという感じがする。万葉の音はのびやかだが、こういうやりとりのなかにも、そののびやかさが生きている。「意味」があるというよりも、「音」がある。「音」を楽しむ余裕がある。
玉藻かる敏馬を過ぎて夏草の野島の崎に船ちかづきぬ 柿本人麿
「枕詞」というのは、最初は「意味」があったのだと思う。柿本人麿がこの歌を詠んだときも「意味」はあっただろうか。今の私には「音」しか、わからない。つまり、そのとき「音」は、「無意味」である。これが、いいなあ、と思う。
「枕詞」だから、持統天皇と志斐嫗の掛け合いの「音」とは違うのだが、「無意味」であることよって、軽く、伸びやかになっている。と、「枕詞」の「意味」を知らない私は感じる。船がすいすい進んでいる様子が目に浮かび、妙に楽しい。「枕詞」の無意味さが船の進み具合を加速する。
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