高柳誠『フランチェスカのスカート』(23) | 詩はどこにあるか

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高柳誠『フランチェスカのスカート』(23)(書肆山田、2021年06月05日発行)

 「アガーテ」。アガーテとフランチェスカは、どう違うか。アガーテは、「あなたのこと、弟みたいに思えることがあるの。だから心配してるんじゃないの。」と言う。

                      「余計なお世話だ。姉
  さんなんかいらない!」そう言ってかけだす。怒りよりもやり場の
  ないもどかしさがこみ上げる。姉さんなんて…。なぜか、わからず、
  アガーテのことが急に憎らしくなってくる。

 最後の「憎らしい」は「愛しい」の裏返しである。それに気づいて、もどかしくなる。これは「恋愛」の定型である。高柳のことばの動きの一つの特徴に「定型」の安定感がある。