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マツクイムシの基礎知識

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林業の代表的な害虫に"マツクイムシ"と言う害虫がいます。しかしマツクイムシという名称ですが、これは正式なものではありません。マツクイムシという"生物"はいません。あくまでも一般的な俗称です。
"マツ材線虫病"というのが一番わかりやすいでしょうか?

マツノザイセンチュウという線虫がマツに対して起こす生理障害の結果として枯れるものです。
実はこの線虫がマツの間を移動するには、マツノマダラカミキリという中間寄主(媒介昆虫)を利用します。
アカマツへの感染はマツノザイセンチュウが寄生しているマツノマダラカミキリがアカマツ(クロマツ)の樹皮を食べるときに、口吻から樹体内へ侵入、感染します。そしてマツノザイセンチュウがマツの材の中で多数繁殖していきます。大きさは100~500ミクロン程度です。
マツノマダラカミキリは八月頃にアカマツの樹皮の中に産卵します。卵から蛹までの期間をアカマツやクロマツの中で過ごします。
翌年の6月頃に羽化する際、ザイセンチュウを体内に付けて外界へ出ます。
なお、羽化する時点ではアカマツは完全に枯れておりますが、カミキリムシは枯れ木を食べながら確実に成長し、成虫となって出てきます。成虫の飛翔距離は最大で3km程度という報告もあります。もちろん気象条件によって変わりますし、より近くにマツがあればそこに移動して世代交代のために次の産卵を行います。ですから"マツ材線虫病"で枯れてしまった木が一本でもありますと、来年出てきた成虫が近隣の赤松を次のターゲットにし、感染が広がっていきます。

夏の間にマツノザイセンチュウに感染したマツは、11月から12月頃にかけて一気に枯れ上がります。
この枯れる速度はすさまじく、一度感染したら、残念ながら現在のところ治療する方法はありません。
ただ、予防法は確立されておりまして、予防薬が市販されております。
商品名は「グリーンガード・エイト」といい、ファイザー株式会社が製造販売しております。
アンプル状のプラスチック製容器に入っておりますが、この先端を切り、逆さまにして、予防するマツに差し込んで使用します。対象となるマツにはあらかじめドリルで穴を開けておきます。
薬の残留期間は(効果のある期間)は4年間で、農薬としては極めて長期間薬効があります。
4年を過ぎるとまた灌注しなければなりません。
一本4千円前後で入手できますが、木の大きさによって複数本使用します。
この農薬は種苗店、農協で購入できますが、ホームセンターには置いてありません。
また、この薬の接種時期は極めて限られておりまして、関東では1月から2月中旬までです。
これ以外の期間に試用しても薬剤は全く樹木の中に入りませんからご注意下さい。
また、ここが一番大切なのですが、この薬はあくまでも"予防薬"ということです。
先にも述べました通り、感染後に使っても全く効き目はありません。薬が木の中に入っていかないのです。
もしザイセンチュウによって枯れた木がそのまま放置されると、来年必ず成虫が出てきますので、枯れた木は焼却か土の中に埋める、小さく切って、一カ所に集め、シートで覆うなどの対策をしないと、周囲に被害が広がります。

マツクイムシによる被害は、林業経営に深刻な被害を与えます。特にアカマツに感染してしまうとマツタケの質が悪くなるうえに、生えない事もあります。そのためマツクイムシ防除を徹底的にしましょう。

神戸ビーフの由来

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日本で牛肉が食用に利用され始めたのは、一般には明治の文明開化の時代からです。日本食肉文化史によると、それ以前にも彦根藩などで牛肉が食用に供された記録がありますが、これはごく一部の人が薬用に用いた程度と考えられます。1859年に神奈川が開港し、欧米人が横浜に居住し始めると、1865年にはその食用に供するため横浜にと畜場が開設され、国内の牛がここに供給し始めました。

当時、農耕用の牛は全国で多数飼育されていたはずですが、殺生を嫌う当時の日本人はと畜されると分かった牛を喜んで提供するはずはなく、そこではるばる神戸港から生きた牛を船積みして輸送した所、この牛肉がすばらしく美味だったために、外国人に高評価されました。こうして毎回30~40頭ずつが慣例となり、これが元となって神戸ビーフの名が世界に知れ渡ったと言います。

神戸の後背地、現在の神戸市北区や三田市の周辺は、農耕用には主に但馬牛の牝牛が利用されてきました。幕藩時代だったから税は米で納められてきましたが、秋には収穫した米を牛の背や牛車で輸送していきました。いつの頃からか定かではないですが、輸送に使う牛が痩せていたら農業に不熱心だとお咎めを受け、肥えた牛を連れて行けば、農業の宝である牛を大切にしているとして褒美をいただく風習がこの地帯にできました。そのためこの地方の農家では、大麦を煮て牛に与える事が習慣となり、神戸港から船積みされた肉用の牛は、実はこのような牛だったわけです。

最初の頃は分けも分からずに牛を手放していた農家も、痩せた牛を肥やせれば利益が上がると知って、やがてこの地方に農業の一形態として肥育が定着し始めたわけです。純粋但馬系の牝牛を素牛として、大麦を主体とする濃厚飼料と稲藁で長期にわたって肥育をします。これは後に肥育の一類型となった"牝牛の理想肥育"そのものです。現在の松坂牛、性別にこだわらなくなった神戸牛・三田牛・近江牛などはいずれもこの形態を踏襲しています。

フランクフルトソーセージの製法

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一般的にソーセージ類は食塩・発色剤・重合リン酸塩・香辛料などにより塩漬・調味された挽き肉を天然腸(羊腸・豚腸)・人工ケーシング(コラーゲンケーシング・セルロースケーシング)に詰め、燻煙・湯煮などの加熱処理を行ったものです。(中には加熱処理しないフレッシュソーセージタイプもあります)

ソーセージにはフランクフルトとか、ウィンナーとかいろいろ名前があるけど、あくまで"地名"です。ちなみに、ウィンナーソーセージは、オーストリアのウィーンのソーセージです。このようにドイツには、各地に"地ビールと地ソーセージ"がありますが、ソーセージの基本は水分含量の程度によって、ドメスティックソーセージとドライソーセージの大きく2つに分けられます。

ドメスティックソーセージは水分量が多く、長期間の保存ができないもので、さらにフレッシュ・スモーク・クックドに分けられます。おなじみのフランクフルトソーセージや、ウィンナーソーセージはドメスティックソーセージの1種です。
一方のドライソーセージは、水にしないで長時間乾燥したもので、水分が少なく保存性の高いソーセージで、代表的なものに"サラミソーセージ"が挙げられます。

フランクフルトソーセージの製法は基本的には、原料肉に豚肉とラードだけを使います。
材料として、赤肉10kg・ラード3kg・氷2kg・胡椒40g・ナツメグ10g・オールスパイス5g・化学調味料20g・タマネギ80g・砂糖60gを用意します。
製造工程としては、原料肉の細切→塩漬け→肉引き→練り→腸詰→乾燥→薫煙→水煮→冷却の順番です。

豚肉はハム・ベーコンなどの残肉を使い、赤肉と脂肪に分け、原料肉はそれぞれ2~3cm角に細切した後、肉10kgに対して食塩を250~300g、硝石10gを混合した塩漬け剤を肉に均一に散布して、よく混和します。脂肪は背脂肪を使い、肉とほぼ同じ大きさに細切し、脂肪の重量の2~3%量の食塩をよく混和して、それぞれ別の容器に入れて、2~3℃で約1週間塩漬けにします。
塩漬けした原料肉は、肉挽き機3mmプレートを使って、赤肉と脂肪を分けてひき肉にし、ひき肉はサイレンとカッターに入れて混和します。肉温の上昇防止と肉の粘着性を調製するために、容量の氷を加え、更に調味料や香辛料を肉全体に分散させるように添加します。
練り合わせると、次第に肉に粘りが生じてくるので、挽いた脂肪を添加してできるだけ短時間に肉と混和させ、香辛料のタマネギは摩り下ろしたものを使います。
ケーシング(腸詰)は豚の小腸を使い、充填機で腸の中に充填させていきます。1個あたりの長さは20cmを目安とし、両端をタコ糸で縛ります。その後、薫煙室で30~40℃で2~3時間感想した後、50~60℃で1~2時間薫煙します。薫煙後は、70℃の湯で1時間水煮を行い、直ちに冷却します。

ウィンナーソーセージ・サラミソーセージは、また別の製法を用います。これらについては、またの機会にでも紹介しましょう。