角換わり 第48期新人王戦 大橋貴洸-藤井聡太 棋譜検討(△6二金▲5八金型) | 将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

オールラウンドプレイヤーを目指す序盤研究ブログです。最近は棋書 感想・レビューのコーナーで、棋書の評価付けもしています。

【棋譜DB】
第48期新人王戦 大橋貴洸-藤井聡太

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

先手:大橋貴洸 四段
後手:藤井聡太 四段

▲7六歩    △8四歩    ▲2六歩    △8五歩    ▲7七角    △3四歩
▲8八銀    △3二金    ▲7八金    △7七角成  ▲同 銀    △2二銀
(下図)

角換わり。

上図以下
▲4八銀    △6二銀    ▲4六歩    △6四歩    ▲4七銀    △6三銀
▲6八玉    △4二玉    ▲9六歩    △9四歩    ▲5八金    △3三銀
▲3六歩    △7四歩    ▲5六銀    △7三桂    ▲7九玉    △6二金
▲2五歩    △8一飛    ▲6六歩    △1四歩    ▲1六歩    △5四銀
▲3七桂
(下図)

新型対旧型、という趣きですね。

上図以下
△6五歩    ▲同 歩    △同 桂(下図)

▲同 銀△同 歩▲6三歩の変化は、
ホントに山ほど研究されてるよね。
△7二金▲6四桂△7三金▲6二歩成△6四金で、
変化はあるものの後手持ち、という結論のはず(多分・・・)

進化早すぎて細かい事知りません。

上図以下
▲6六銀    △6四歩    ▲8八玉    △8六歩    ▲同 歩    △同 飛
▲8七歩    △8一飛    ▲6七銀
(下図)

本譜は穏やか路線。

上図以下
△4四歩    ▲5六歩    △3一玉    ▲4五歩(下図)

狙いの仕掛け。
△4五同歩には▲3五歩△同 歩▲5五歩△4三銀▲4五桂とし、
△4四銀左に▲6三歩と叩く(下図)

△7二金には▲5四歩の突き捨てが筋で、
△同 歩には▲5三角、△同 銀には▲2四歩△同 歩▲2二歩で、
先手の攻めは続いていく。

だから▲6三歩には△5二金だが、
▲2四歩△同 歩▲7二角で先手がまずまずの分かれである。

これらの進行は、
△6五歩▲同 歩△同 桂と仕掛けさせたからこそ、
▲6三歩と打つ手が生まれている。大橋四段の研究だろう。

そこで、藤井四段は▲4五歩△7五歩と攻め合いに出た。
以下▲5五歩△4三銀(下図)

ここで▲2四歩も有力な一手。
△同 歩は▲2五歩と継ぎ歩していけるし、
△同 銀なら▲6三歩△7二金▲4八飛で薄みを突ける。

本譜は上図以下
▲6三歩    △7二金    ▲4四歩    △同銀左    ▲2六角(下図)

これも強烈な着想で、次の▲4五歩が受けにくい。

本譜は上図以下△4五歩▲同 桂△同 銀(下図)

ここでは▲4六歩も有力な一手だった。
1.△同 銀には▲5三角成△4二角▲4四歩△5三角▲4三歩成
  △同 金▲2四歩△同 歩▲5四銀で食いついていく。
2.△3六銀には▲5三角成△4二角▲2六馬が銀に当たる。
形勢は不明だろう。

本譜は上図以下
▲5三角成  △4二角    ▲2六馬    △4四歩(下図)

ここはグイッと▲4七金や、
▲7五歩と戻しておく手など、手が広い。

本譜は▲4八飛(下図)

ここでは△7六歩も有力で、
▲4六歩には△5六銀▲同 銀△8六歩▲同 歩△同 飛。
こう進めば、次の△7七歩成で駒損を回復できる。

上図以下
△3五歩    ▲4六歩    △3六銀    ▲3五馬    △3七銀成  ▲4九飛
△3四歩    ▲2六馬    △3八成銀 ▲7九飛
(下図)

この進行は先手十分だろう。
桂得ながら、次の▲2七馬が厳しいからだ。

しかし、言い換えれば藤井四段の真価が見れる局面でもある。

上図以下
△9五歩    ▲同 歩    △2八成銀(下図)

藤井四段の選択は端にアヤをつけて△2八成銀という手渡しだった。
▲2七馬を消しつつ、香車を奪って△8三香と打つ含みもある。

しかし、これでは後手が辛いだろう。
大橋四段も自信を持ったはずだ。

上図では▲4五歩も厳しい一手。
△3三角に▲4九飛と戻ってこれる。
△2八成銀
のマイナス面を突くならこれか。

上図以下
▲7五銀    △2二玉    ▲3六馬    △8二飛    ▲6六銀上  △5一角
▲6七金右
(下図)

大橋四段は自玉を厚く組み直した。
玉頭や端から反撃されるのを嫌ったか。
▲7五銀としておけば、7~8筋は大分厚くなる。

しかし、上図が元より先手良しに傾いたかと言うと、そうでもない。

つまり、△9五歩が良い勝負術だったのだと思う。
先手に自玉周辺を見させておき、
△2二玉の入城と△5一角の活用の2手を捻出したのだから。

上図では△8三桂▲8六銀△9五桂の順も考えられた。

上図以下
△9五香    ▲9六歩    △同 香    ▲同 香    △9五歩    ▲6二歩成(下図)

藤井四段はシンプルに香交換を狙ったが、
上図▲6二歩成が良いタイミングで入った。
今なら△同 金とは取れないが・・・

上図以下
△同 角    ▲8六香    △8三桂    ▲6四銀(下図)

先手の馬が7二の金を狙っているため、
▲8六香が痛打になった。後手飛車は動けない。
△8三桂と打つようでは辛く、▲6四銀で6五の桂が仕留められた。

大橋四段は一貫して手厚い指し回しで、
幹の細い変化には踏み込まないという印象がある。
森下先生の流れを汲む棋風なのだろうか。持ち歩も多いし。

上図以下
△9六歩    ▲6五銀    △9七歩成    ▲同 桂    △9六歩    ▲8五桂
△8四角
(下図)

非勢に立たされた藤井四段、
駒を活用してチャンスを待つ。

上図は様々な考え方がありそう。
堂々と▲5四歩で勝てたら強そうだ。

上図以下
▲2四歩    △同 歩    ▲6六歩    △6一香    ▲2三歩    △同 玉
▲2五歩    △同 歩
(下図)

この辺り、▲9四歩と垂らした方が「森下調」だったか。

上図以下
▲9三桂成  △同 角    ▲9四歩(下図)

本譜は技を掛けに行ったが・・・

上図以下△8四角(下図)

この手が絶妙で、急激に差が縮まった。
▲同 香には△8五桂が厳しい。

腰の重い大橋四段がようやく技を掛けにいった瞬間に、
落とし穴が待っていたのだから皮肉である。

上図以下
▲5四銀    △8五歩    ▲5三銀左成△5四銀    ▲同 馬    △8六歩(下図)

気を取り直して攻め合ったが、上図は後手良しだろう。

上図以下
▲同 歩    △6六香    ▲2四歩    △同 玉    ▲3六桂    △3五玉
▲3七銀    △4一香    ▲2八銀
(下図)

大橋四段、手を尽くして攻めるが、
この一瞬が何でもない。

上図以下
△8七歩    ▲同 玉    △6七香成  ▲同 金    △4八角成    ▲3二馬
△9五桂    ▲7八玉    △7七歩    ▲同 金    △8七金
(下図)

上図以下、先手玉は詰み。
藤井四段の手際の良さが光る。

大橋四段、強いと思わせる手厚い指し回しだったが、
▲9三桂成が一瞬の隙だった。
今後、大橋四段の腰は更に重くなるかもしれない。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□