中飛車 第75期順位戦B級1組 谷川浩司-久保利明 棋譜検討(超速対△4二銀型) | 将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

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【棋譜DB】
第75期順位戦B級1組 谷川浩司-久保利明

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先手:谷川浩司 九段
後手:久保利明 九段

▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △5四歩    ▲2五歩    △5二飛
▲4八銀    △5五歩    ▲6八玉    △3三角    ▲3六歩    △6二玉
▲3七銀    △7二玉    ▲4六銀    △8二玉    ▲7八玉    △7二銀
▲6八銀    △4二銀
(下図)

超速 対 △4二銀型。

古くて新しい戦形で、
最近タイトル戦でもよく指されている。

上図以下
▲4五銀    △3二金    ▲3四銀    △4四角(下図)

上図△4四角のところ、以前は△2二角と引いていて、
▲2四歩△同 歩▲同 飛△5四飛がよくある進行だった。
だけど、▲2五歩と飛車の底から歩を打つ筋があって、
▲2三銀成を見せられると辛いというのが一時期の定説だった。

上図以下
▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △2二歩(下図)

上図では▲2八飛が多い進行。
対して後手の指し方は1.△5一飛(下図)と2.△3一銀に分かれる。

△5一飛は、プロだと澤田-渡辺戦 で指された手で、
Floodgateでも何例か指されている。

澤田-渡辺戦 は上図から、
▲4五銀△7一角▲3五歩△3三銀▲5八金右△3五角に、
▲5六歩と突き返した手が巧妙で、先手が良くなった。
この将棋のイメージが悪いのか、△5一飛の実戦は少ないが、
May vs. Saturday_Crush で▲4五銀に△5三角という工夫が出ている(下図)

次に△6四角と捌く味があり、これも要研究課題だろう。

プロ間では2.△3一銀が課題なのだと感じる(下図)

2筋に備えつつ、次の△5六歩を狙う意味。
先手は▲4五銀と引くか▲2三歩と踏み込むかで迷う局面だ。

これも興味深い課題ではあるが、
研究しだすと止まらない形でもあるので、ここでは割愛する。

本譜は△2二歩▲3七桂(下図)

飯塚-菅井戦 では、上図以下△3一銀と引いており、
軽い捌きを決めた菅井先生が勝利を収めている。

△3一銀には▲2三歩(下図)も有力。

▲2三歩の狙いは2筋突破、ではなく、
△5六歩に対して▲4四角△同 歩▲5六歩とし、
△同 飛には▲2二歩成△同 銀▲6五角を狙う意味である。
ゴリ押しの感触なので筋は良くないが、ある手だと認識している。

本譜は▲3七桂△3三銀(下図)

銀は、引くよりぶつけたい。

上図以下
▲同銀成    △同 角    ▲2九飛    △5六歩    ▲3三角成  △同 桂
▲4一銀    △5四飛
(下図)

銀をぶつければ、ここまでは進みそう。

先手は金を取る一手だが、成・不成は難しいところかも。

本譜は上図以下
▲3二銀成  △5七歩成  ▲5五歩    △6八と    ▲同 金    △4四飛   
▲2二飛成  △4七飛成  ▲4八金打  △3六龍
(下図)

ここまで進むと後手が良いと思う。
▲3三成銀で桂損するが、△4四角が味良く振り飛車良し。
振り飛車側には△4四角や△3五角など、好点の角が多い。
特に△3五角は先手玉を守る唯一の金を狙って絶好である。

▲3七桂以降、上図までの流れは自然なので、
そもそも▲3七桂がどうなのか、という話になるかもしれない。