四間飛車 第2期叡王戦段位別予選九段戦 先崎学-中村修 棋譜検討(4→3戦法) | 将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

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第2期叡王戦段位別予選九段戦 先崎学-中村修

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先手:先崎学九段
後手:中村修九段

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4二飛 ▲4八銀 △6二玉
▲6八玉 △7二玉 ▲7八玉 △8二玉 ▲9六歩 △7二銀
(下図)

端歩を受けないのは珍しい。

ちなみに、角交換型なら受けない事もある→豊島-藤井戦
△8八角成▲同 銀が入れると後手が手損するので、
端歩を受けている暇が無くなる、という事なのかな。

・・・と、考察してたんだけど、
現に中村先生は端を詰めさせている訳で、
この辺りの呼吸は個々人に秘めたものがあるんでしょうね。

上図以下
▲9五歩 △3五歩(下図)

なるほどー。

△3五歩と突く手法は、△7二玉型での実戦例が多いんですが、
▲9六歩▲9五歩△8二玉△7二銀の交換は後手が得だろう」
・・・というのが中村先生の構想なのかな。

とすると、本局はその構想の真偽が問われますね。
つまり、端歩を詰めた先手は持久戦有利、
囲いを完成させた後手は急戦有利、という事です。

上図以下
▲2五歩 △3二飛 ▲4六歩 △3四飛(下図)

ここでは▲2二角成も有力ですが、
△同 銀と取られた後がまとめにくいでしょうか。
後手には△7四飛・△3六歩・△3三桂などと動く手があります。
少なくとも、端歩が生きる展開とは言えませんね。

上図以下
▲6八銀 △4四歩(下図)

方針とは裏腹な手ですが、ここで▲4五歩と突きますと?以下
△同 歩▲2二角成△同 銀▲4三角△3一飛▲6五角成・・・
うーん・・・先手も有利を感じられる戦果では無いですか。

とすると、▲4五歩はやりにくいですね。裏腹ですから。

上図以下
▲4七銀 △5二金左 ▲5六歩 △5四歩 ▲5八金右(下図)

▲5八金右とした事で、棒金が無くなりました。
端歩との相性を考えたものでしょうか。

上図以下
△1四歩 ▲1六歩 △4二銀 ▲3八飛(下図)

この際の攻撃形は▲3八飛型。
次は当然▲3六歩△同 歩▲同 銀と行くわけですが、
この時△3一銀型なら、△4五歩と反発する手があります。
△4二銀は受けに自信を感じさせる手です。

上図以下
△1三角 ▲5七銀 △3三桂(下図)

上図では▲1五歩△同 歩▲3六歩△同 歩▲1五香もあります(下図)

△1四歩には▲3五歩の打ち捨てで困るし、
△2五桂も▲3六銀△3七歩▲2五銀で先手がまずまずやれそう。

・・・という事は、上図では△4五桂?(下図)

以下▲同 歩△5七角成▲同 金△1五香・・・
そうか、これは後手もまずまずですか。
多少駒損でも、美濃の堅さが活きそうなので。

本譜は△3三桂▲3六歩(下図)

もし△同 歩なら、▲同 銀△3五歩▲2七銀と繰り替える(下図)

次に▲2六銀~▲1五歩が分かりやすい攻めなので、
後手はその前に動かないといけませんが、
△5五歩と突いても、構わず▲2六銀と立たれるくらいで、
後手があまり自信持てない感じです。陣形が低いですからね。

という訳で、本譜は▲3六歩△5五歩(下図)

少し早めに技を出さないと間に合わない、と。

しかし、中央は先手も厚いところなので、
無視して▲3五歩と取りますと?(下図)

以下△同 飛に1.▲3六銀だと△3七歩▲同 飛△2五桂なので、
2.▲同 飛△同 角に、▲3六歩と素朴に打ってみる。
△2六角は▲2八飛なので△1三角▲2一飛と進みそうか。
パッと見先手が指せそうだけど、△3一飛で耐えている?(下図)

▲2三飛成には△2二歩▲3四竜△4三銀と追いかけ、
▲1四竜に△4六角と飛び出す手がある。

けれど、▲3一同飛成も△同 角でハッキリしないですか。
△2八飛から桂を奪って△2五桂~△3七桂成が早いので。

こういった展開を後手が嫌うなら、▲3五歩に△同 角(下図)

今度は▲3六銀と出やすいですね。以下、よくある進行は
△2六角▲3五歩△3七歩▲同 飛△同 角成▲同 桂
△2五桂(下図)

うーん・・・これはどうなんでしょう。

先手が桂を手にすると▲5五角が良い狙いですから、
後手が少し無理をしているのかなぁ。

本譜は△5五歩▲同 角△4五歩▲3五歩△同 角と進行(下図)

▲同 角△4五歩の後に▲3五歩なら、
△同 飛に対して▲同 飛~▲3四歩があるので、
△同 角に限定していますね。

ただし、上図で▲3六銀と上がっても、
後手の飛車が横に逃げられるので押さえ込むのは大変。
具体的には△4四角とぶつける感じでどうかな?

また、上図から一番強気に指すなら▲4五歩。
次に▲4六銀左と指せれば必勝です。
ただ、後手の飛車角桂が捌けそうなので物凄く怖い。例えば、
△4三銀 ▲3六銀 △5七角成 ▲同 金 △4五桂 ▲4七金
△4四銀(下図)

こんな感じで暴れて来る訳です。

端歩が終盤で活きる可能性が高いので、
これでも先手が指せるかもしれないけれど、
実戦で踏み込めるかと言えば、うーん・・・

本譜は△3五同角▲6六角△4三金(下図)

▲6六角は▲3六銀と出る準備で、
△4四角のぶつけに▲5五歩と止める意味だと思われますが、
△4三金が良いまとめ方だったように思います。

精査すれば優劣がついているのかもしれませんが、
大まかには良い勝負でしょうか。

・・・簡潔に仕上げるコツを忘れたのか、
ダラダラと長い記事になっちゃったので、この辺りで一区切り。
そもそも細かいアヤの多い将棋ではあるんだけど。

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