四間飛車 第2期叡王戦段位別予選九段戦 加藤一二三-中村修 棋譜検討(棒銀) | 将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

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第2期叡王戦段位別予選九段戦 加藤一二三-中村修

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先手:加藤一二三九段
後手:中村修九段

▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △4四歩
▲4八銀 △3二銀 ▲5六歩 △4二飛 ▲6八玉 △6二玉
▲7八玉 △7二玉 ▲5八金右 △8二玉 ▲6八銀 △7二銀
▲3六歩 △9四歩 ▲9六歩 △4三銀 ▲5七銀左 △5四歩
▲6八金上 △1四歩 ▲3七銀 △1二香 ▲2六銀
(下図)

加藤先生、信念の▲2六銀
今更、棒銀以外の戦法を指す加藤先生が見たいか、っていうね。

・・・ウソです。ちょっと見てみたいです(笑)

中村先生については2001年の竜王戦フィーバーが印象的。
あの時は拝むようにして棋譜を並べたものです。
こうして四間飛車を指しているのをお見掛けすると、
もっと振り飛車を指してくれないかなぁ、と思ってしまいます。
でも、プロではなかなか勝ち続けられないんですかねぇ。

上図以下
△3二飛 ▲4六歩 △4二角 ▲3八飛 △5三角 ▲3五歩
△4二金
(下図)

どう見ても対加藤先生シフトの序盤戦。
毎度毎度これでは滅入りそうなものだけど、
気にせず何局でも棒銀で戦う加藤先生には頭が下がります。
いくら好きな戦法でも、私なら飽きます。

上図以下
▲1六歩 △6四歩 ▲9八香(下図)

▲9八香も加藤先生がよく指しています。
棒銀の可能性を全て模索しないと浮かばない手です。
試したくなる手なのか、他の棋士もポツポツと指してますね。

▲4五歩と仕掛けさせて△3三桂と切り返すのもポピュラーですが、
本譜が一番多い対策ですかね。

上図以下
△3三金 ▲3四歩 △同 金 ▲3五歩 △3三金(下図)

ガチッと。

上図では▲3七銀と引く手が多いけど、
△3四歩と打たれて後続が難しい。

上図以下
▲1五歩 △同 歩 ▲同 香(下図)

「加藤一二三」と表札が掛かっている端攻め。
これを嫌って、△1五歩と伸ばす棋士も多い。

ただ、▲9八香と端攻めを組み合わせたのは珍しい気がする。
もしかして、新手法でしょうか?

△同 香なら当然▲同 銀。
▲3四香など、香車を使う場所があるのが主張ですかね。
▲1五同銀以下は△1二飛・△6五歩・△5二銀など、選択肢が多い。
仮に3筋で駒得出来ても、△8四香があるので形勢自体は難しいです。

上図以下
△1三歩 ▲3六飛 △6二角 ▲3七桂(下図)

△1三歩の方が自然な応接ですが、
▲3七桂までの進行はなるほどなぁ、と思いました。

加藤先生は▲2六銀・▲3七桂型の攻撃陣を得意とされていますが、
竹内先生の新手、△3三歩 が上手い受けだなぁと思っていました。
(先後逆なので、実際には▲7七歩)
△3三歩は凹んでますが、▲2六銀・▲3七桂型を凝り形にさせる狙いです。

ところが、本局は△3三歩と打てない。これが▲9八香の狙いですかね。
「私なら飽きる」とか書いてすみません。毎局、同じ棒銀では無いんですよね。

△3三金型を活かすなら、宮本先生の△2四歩 (▲8六歩)も考えられます。

上図以下△3八歩 ▲4五歩(下図)

△3八歩は自然な着想。
受けてもいられないので、▲4五歩で決戦になりました。

上図以下、△3九歩成には▲4四歩で・・・
1.△同 金▲4五歩△3五金は棒銀が捌けてしまう。
2.△同 銀▲4五歩△5三銀▲2四歩△同 歩▲2二歩は攻めが続く。
3.△5二銀と引くようでは元気が出ないですね。

よって、△5五歩と技を使います(下図)

加藤先生としては、△5五歩の流れに乗って戦い、
△3八歩を緩くさせられれば、というところですかね。

上図では、▲2四歩も嫌な感じの手です。
△同 歩▲2二歩△同 飛▲4四歩で下図。

▲2四歩~▲2二歩は、後手飛車の捌きを抑える意味です。
勿論、角のラインに飛車を乗せる効果もありますね。

△同 銀・△同 角は▲4五歩~▲5五角と捌かれた時に元気が無いので、
勢いは△同 金▲4五歩△5四金▲5五歩△6五金と進めたい(下図)

ここで気分は▲5四歩なんですけど、△5二飛と回られて、
▲1一角成△5四銀▲2一馬△3九歩成は先手自信無いです。
もう少し持ち歩があれば、端攻めに期待が持てるんですけどね。

また、上図以下▲3四歩△3二飛▲3五銀にも△3九歩成。
緩くさせたい△3八歩が、どうにも利いてきますね。

しかし、この辺りは何か手があってもおかしくないので、
類局が指されるかもしれないです。

本局は△5五歩以下▲4六銀 △3九歩成(下図)

▲4六銀は3五を補強したもので、
▲2二歩同様、後手飛車を抑える意味なんですが、
△3九歩成の局面は・・・うーん、先手あまり自信が無いなぁ。

例えば、▲4四歩△同 金に▲5五歩(下図)

上図から▲4五歩と打てれば良いですが、
△3四歩とこじ開けられて大変。以下▲4五桂は△4九とです。

先手はジックリ押さえ込んで行きたいんですけど、
△3八とで桂を取られちゃうので、忙しないんですよね。

本譜は△3九歩成以下
▲4四歩 △同 金 ▲4五歩 △5四金 ▲5五歩 △6五金(下図)

上図△6五金までの進行は、
△5五歩
に▲2四歩として変化に似ていますが、
既に△3九歩成と成れているので、と金の足が早いです。

△5五歩周辺で良いアイディアがあれば、というところですか。