自分が駒落ち上手を持つ時のこだわりとして、
「下手が間違えやすそうな手でも、自分が悪手と分かっていれば指さない」
というものがあります(指導用にあえて指す場合を除く)。
上手は形勢不利な所からスタートなので、
「上手に最善手は存在しない」という考え方も出来ますが、
相手の間違いに頼って形勢挽回するよりも、
自らの工夫によって差を縮めたい、と思ってます。
こういったこだわりは、単に気分が悪いからって部分も大きいですが、
感想戦で下手に指し手の意味を聞かれた時に、
「間違いを期待して指しました」なんて事は言いたくないんですよね。
まぁ、正直に言わなくて良いんですが、心の中で呟くセリフとしても悲しすぎる。
しかし、先日読者の方から、
「ブログに書いていない手を指されて困った」
という御意見を頂きまして、こうして記事を書いている次第です。
手合割:飛香落ち
△3四歩 ▲7六歩 △4四歩 ▲1六歩 △3二銀 ▲1五歩
△2四歩(下図)
「どれどれ、おじさんに見せてごらん」
と言って、並べてもらったのが上図。
「△2四歩って指されて、下手▲1七桂戦法が封じられちゃったんですよ」
というお悩みだったわけですが、うーん・・・と、うなってしまう訳ですね。
というのも、△2四歩は下手に正しく応接されると厳しい手だから。
注:下手▲1七桂戦法については下記記事を参照してね。
駒落ち 飛車香落ち 上手から見た感想と工夫01
駒落ち 飛車香落ち 上手から見た感想と工夫02
駒落ち 飛車香落ち 上手から見た感想と工夫03
上図から
▲2六歩 △2三銀 ▲2五歩 △同 歩 ▲同 飛 △2四歩
▲4五飛(下図)
▲4五飛が由緒正しい△2四歩破りの一着。
色んな所で書かれてるから、覚えてね。
上図から△同 歩▲2二角成と進めば下手大成功なので、
上手は△3二金▲4四飛△5二金と辛抱するより無い(下図)
△5二金のところで△同 角▲同 角△4五飛は▲5三角成で、
△4七飛成は▲5八金右~▲6三馬、△6二金は▲7五馬△4七飛成▲6五角。
竜を作られても歩得が大きく、下手良しです。
上図はただでさえ飛香落ちですから、
駒損の上手に良い理屈がありませんが、もう少しだけ進めてみます。
▲4六飛 △8八角成 ▲同 銀 △5五角 ▲7七角 △4六角
▲同 歩 △3三桂 ▲3八銀(下図)
一例ですけど、こんな感じで下手が良いでしょう。
次▲2二歩△同 金▲1一角が厳しい狙いです。
場合によっては▲4五歩から歩を伸ばす要領もあります。
△3三桂のところは△4七飛と打ち込む手も気になりますが、
▲5五角打として、▲1一角成や▲5八金右を狙えば、
下手の優位は変わりません。
△2三銀からは乱戦になりやすく、下手も怖いと思いますが、
正しく応対すれば優勢に事を運ぶ事が出来ます。
こういう展開は先述の、
「下手が間違えやすそうな手でも、自分が悪手と分かっていれば指さない」
という自分のこだわりにも反するので、全くやる気がしません。
上手の他案としては、△2三銀のところで△3三角(下図)
この方がまだマシですね。
しかしこれも、
▲3八銀 △2三銀 ▲2七銀 △3二金 ▲3六銀(下図)
このように組まれてしまうと、上手を持ってやる気ゼロ。
玉を囲った後に▲2五歩△同 歩▲1四歩△同 歩▲2五銀と指され、
1四での銀交換を狙われる筋があるので、まとめにくいです。
この攻め筋は▲1五歩とも関連が強く、香が無いのをとがめています。
(良いまとめ方があれば、積極的に△2四歩を指しても良いんだけどなー)
こういった奇策が指されるのも、
下手▲1七桂戦法が優秀だからに他ならないのですが、
「下手が正しい応接を知っていれば」上手にメリットは無いですね。
自分も△2四歩を指す事はあるでしょうけれど、
一局指して、正しい手を教え、確認以外の意味では指さない、
という事になるかと思います。
※あくまで、自分のこだわりについて書いているだけで、
そうではない上手を批判している訳ではないので、あしからず。
むしろ、こうした面があるので、自分の駒落ちはあまり上手くありません。
適度にごまかしを入れる上手が下手泣かせなのです・・・
駒落ちについて考えるのは面白いので、
また近い内に記事を書きます。
駒落ち定跡って面白い!と思った方はポチッとお願いね。