7月末まで、少しだけ時間が取れる日が出来そうです。
恐らく、8~9月以降は色々と忙しくなっちゃって、
ブログの更新に当てられる時間はほとんど無くなると思います。
それでも隙を見て返信くらいはしていこうかなー、という感じですが。
(要するに、これまでと同程度の更新頻度という事ですか)
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今回は、糸谷流右玉について書いていこうと思います。
初手から
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △5四歩 ▲2五歩 △5二飛
▲4八銀 △5五歩 ▲6八銀 △3三角 ▲4六歩 △6二玉
▲4七銀(下図)
糸谷流右玉対策のバイブルは豊川-北浜戦(順位戦)
です。
糸谷流のようなバランス型の将棋に対しては、
位を取って、金銀のスクラムを断ちに行くのがポイントになりやすいです。
この場合、5筋の位がそれで、
▲4七銀・▲5七銀型よりも▲4七銀・▲6七銀型の方が攻略しやすいです。
また、上図では8八の角が浮いているのを咎めて、
△5六歩と仕掛けたい局面ではありますが、
▲3三角成△5七歩成▲4三馬△4七と▲5四歩でやや無理筋です。
上図から
△7二玉 ▲6六歩 △4二銀 ▲3六歩 △5三銀 ▲6七銀
△5四銀 ▲3七桂 △8二玉 ▲6八金 △7二銀 ▲9六歩
△9四歩 ▲3八金 △6四歩 ▲4八玉 △5一飛 ▲2九飛
△5二金左(下図)
仕掛けを見送れば、大まかには上図のように進みます。
△5二金左と指さず、何らかの急戦を仕掛ける展開も多かったのですが、
先手からの飛車転換や▲9七角など、6~8筋方面で戦いが起きやすく、
玉の薄さが気になる展開になりやすかったです。
参考棋譜:
宮本-糸谷戦(新人王戦)
糸谷-横山戦(新人王戦)
上図から
▲7五歩 △1四歩 ▲8六歩 △1三桂 ▲8五歩 △6三金
▲7七桂 △2一飛(下図)
△2一飛までの手順が新機軸。
以前は(類型含め)△5二金左以下、
高美濃~銀冠に発展する持久戦がほとんどでした。
先手の2筋の位は、金銀に守られにくい「薄い位」なので、
戦いを起こしやすい地点です。
△1三桂がコロンブスの卵。
2筋を攻めるには桂の活用が必須ですが、
3三に跳ねるためには角を移動する必要があります。
そのため、「角をどこにどかそうかな」と思案していたのですが、
桂の方をどかす発想には目からウロコでした。
上図から
▲9七角 △2四歩 ▲同 歩 △同 飛(下図)
▲9七角に対し、北浜先生は飛車をぶつけていきました。
先手が突っ張るなら▲同 飛△同 角▲2一飛ですが、
△2九飛と打ち込んだ局面の形勢はどうか?(下図)
次に△9九飛成が角取りになってしまうので、
▲3九金と引くよりなさそうです。以下△2六飛成(下図)
上図から▲1一飛成は△1五角が厳しい手になります。
以下▲3八金に△2五桂▲同 桂△2九竜と追撃して後手優勢。
また、このまま放置していると△3五歩が厳しいので、
竜を追いかける形を作りたいのですが、それが難しい。
▲3八玉は△1五角、▲3八金は△2九竜といった要領でどうか。
本譜は△2四飛に▲8九飛でしたが、これは辛い。
後手は何も制約を受けていないので、
実質、「先手2筋位取り向かい飛車」のようなものです。
(いや、そんなの無いけど)
以下の北浜先生の手順も非常に上手いのですが、
局面としては、ここで差がついたと思います。
糸谷流サイドは上記の進行を避ける必要があります。
その方法の一つに高美濃の阻止が考えられます。
高美濃阻止の有力策は▲9七角。
具体例は糸谷-横山戦(新人王戦)
です。
上図のタイミングで▲9七角と上がられると、
6四の歩を受けるには△6三銀上しかなく、
豊川-北浜戦(順位戦)
の進行を防ぐことが出来ます。
▲9七角の成立条件は、△9五歩に対策があるかどうか。
上図の場合、▲9五同歩△同 香に▲2九飛が上手い手で、
△9七香成▲同 香△9三歩▲9八香のような展開は後手大変です(下図)。
上図から▲9九飛の三段ロケットが完成するのが先手の自慢です。
しかし、北浜手順の上手さは、
この▲9七角対策にあるのです(下図再掲載)。
豊川-北浜戦(順位戦)
だと、
▲9七角には△6三金が間に合ってしまいます。
その秘密は△4四歩の省略。
△1三桂からの華麗な捌きに目が行ってしまいますが、
最短手順で高美濃に組んでいるという点が隠れた長所なのです。
という訳で、先手側の工夫としては、
「△6三金が間に合わないタイミングで▲9七角を成立させる」
というのが主題になりそうです。
しかし、この主題をクリアする手順はかなり難しい。
▲4七銀・▲6七銀は糸谷流の屋台骨だし、
▲3八金・▲4八玉・▲6八玉もサブウェイ開通の必要手。
目立った無駄手が無い以上、タイミングを早める事は難しく、
▲9七角成立には苦労しそうだ。
▲9七角以外の対策としては、▲2七金型が考えられる。
後手陣を抑えこむ事が出来れば上々だ。
しかし、△4三歩型に対し、
どの程度戦果が上がるかは微妙だと思われる(下図再掲載)。
仮に上図から▲2七金と上がっても、
△1四歩▲2六金△4四角くらいで軽く受け止められている(下図)。
上図以下は、△3三桂~△2一飛で後手が十分指せそうだ。
先手は金が負担になっていて、飛車が使いにくいのが難点だ。
この辺りの問題がクリアになれば糸谷流右玉を指す気になるが、
今のところ、振り飛車側に分があると判断している。
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多忙期に入る前に、もう一回研究記事が書けるかどうかー・・・
書けるとしたら最新形を考えてみたいんですが、
ネタをどうしようかは思案中です。
(そもそも、書けるかどうかもわからないし)
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