棋書 感想・レビュー 第18回「羽生善治の将棋入門 全5巻」 | 将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

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オールラウンドプレイヤーを目指す序盤研究ブログです。最近は棋書 感想・レビューのコーナーで、棋書の評価付けもしています。

このブログは色んな年代の方が見に来てくれているようで、
あらためて将棋の持つ懐の広さを感じます。

それでいて、「将棋は衰退傾向」なんて見方が多いのですから、
将棋ではなく、時代にも原因があるのかもしれません。
人との交流が希薄なんていわれてるわけだし。


羽生善治の将棋入門

というわけで、
今回の棋書 感想・レビューのコーナーは、
入門書を採り上げてみようと思います。

2002年に発売された、この「羽生善治の将棋入門」は、
第1巻「さあ将棋をはじめよう」
第2巻「一局の流れを知る」
第3巻「攻めと守りの知恵」
第4巻「戦法と定跡に学ぶ」
第5巻「考える事を楽しもう」
の全5巻セット(分売不可)。

10000円オーバーですから、結構いい買い物です(苦笑)。
私自身は普及活動の関係で譲り受けたので、
その点はラッキーでした(笑)

ま、そんな私事は置いておいて、
レビューに移りたいと思います。


まず1巻「さあ将棋をはじめよう」

「将棋を指したいと思ったら、いますぐはじめましょう」
から始まるこの本は、
駒の動かし方やルール・反則、詰み、符号、駒の効果的な使い方等が書いてあります。

また、全巻を通して、
巻末には「知っておきたい将棋のことば」という題で、
ちょっとわかりづらい将棋用語を、わかりやすく解説しています。

ただ、1冊につき120ページほどのシリーズなので、
若干詰め込み過ぎの感は否めません。
全体的には初心者向けではありますが、
ところどころ上級者でないと分からない部分もあります(作為的にです)。


次に2巻「一局の流れを知る」

いきなり難しいタイトルですが(笑)
内容的には序盤から終盤への戦い方について書いてあります。

具体的には、
初形から寄せまでの流れや、1手の読み・寄せの基本などが中心となっていて、
時には上級者も悩む問題があります。

初歩の必死問題などは、
最初の内は実際に解くよりも、
答えを見て、形を知る事の方が効果的のような気がします。


3巻は「攻めと守りの知恵」

駒組の理由や囲いの名前、定跡手順や手筋など、
いよいよ本格的な内容といった感じです。

ただ「知恵」と書いてあるように、
「知識」から「知恵」へと理解を深めていければ良いかと。

具体的な手順よりも、「何故その手を指したのか」が分かっている事が、
以降の上達に影響すると、私は考えています。


4巻は「戦法と定跡に学ぶ」

この本では、色々な振り飛車・居飛車の形を、
3巻よりもより細かく書いています。

まえがきには、「勉強した定跡とまったく同じ局面になることは多くない」とあり、
むしろ「定跡が自分の基礎体力をつくってくれる」とあります。

この点に関しては、研究に頼った戦い方をしがちな私にとっても、
金言となっています(苦笑)


最後の5巻は「考える事を楽しもう」

この本では、さらなる上達のためにどうすればいいのか、
羽生先生自身の考えが書いてあります。

本編第1章のタイトルは、ずばり「将棋とはなにか、考える」。
易しい言葉の中に、エッセンスが詰まっています。

この本に限らず、難しい事をコンパクトに表すのが、
羽生先生の著書には多い気がしています。


トータルで言える事は、
初心者のお子さんの場合、一人で読むには少し難しく、
将棋が分かる(出来れば初段くらいある)大人が、
一緒に読んであげると良いんじゃないかという事。

第5巻のまえがきに、
「(4巻まで)すべて理解できれば、きっと初段近い実力があるはずです。」
とあり、確かにキチンと読みこなす事が出来れば大きな味方となるでしょうが、
実際に初心者の方が1から学んで、すべて理解できるかは分かりません。

この本における羽生先生の狙いは、
3段以上を目指せる初段を育てられれば、という事のような気がします。
(ただ初段になればいい、という初段とは質が違います)

ですから、将棋を覚えて初段以上になるまでのステップを踏んでいる本なので、
指導に当たる方や「よし、やるぞ!」と気合十分の方は参考になると思います。
早足の解説や高度な解説の部分は、適宜詳しい本を買い足してみるのも一法でしょう。

私が指導の際にこの本を使うとしたら、
初段までの道順を参考にしながら、肉付けをしていく事になりそうです。



では、私の独断と偏見による
羽生善治の将棋入門 」の評価です

難易度      ・・・星
価値の不変度 ・・・星星星星星
お役立ち度   ・・・星星星星星
楽しめ度     ・・・星星星

総合       ・・・星星星星






総評:


難易度はもちろん低く、
価値・お役立ち度も満点で良いと思います。

入門書なので、私が読んで楽しめるというわけではなかったですが、
人によっては各巻にあるコラムが面白いかも。

総合評価が1点引かれているのは、必要な事だけが書いてある印象だからで、
上達・指導の際は、余分な知識もあると良いと思うからです。
(まぁ、この質で余分な知識も入れると5巻じゃとてもおさまらないけど:笑)


・・・それにしても、入門書のレビューは難しいですね(笑)



で、
いつもなら目次を楽天さんに借りているんですが、
目次が書いてないー!(泣)

しょうがないので、久しぶりに手書きしようと思います。
おのれ楽天(笑)


羽生善治の将棋入門 第1巻「さあ将棋をはじめよう」 目次


表紙の言葉

まえがき


第1章 将棋をはじめよう

練習問題


第2章 駒に親しもう

練習問題

卒業問題


知っておきたい将棋のことば


コラム 雑誌や本を読もう

コラム プロの対局風景

コラム 日本将棋連盟とは

コラム 大会に出よう


羽生善治の将棋入門 第2巻「一局の流れを知る」 目次


表紙の言葉

まえがき


第1章 三手の読み

練習問題


第2章 実力者と初心者の対局



第3章 寄せの考え方


知っておきたい将棋のことば


コラム 詰将棋を楽しもう

コラム タイトル戦とは


羽生善治の将棋入門 第3巻「攻めと守りの知恵」 目次


表紙の言葉

まえがき


第1章 駒組みと戦法のいろいろ


第2章 実力者と初心者の対局



第3章 攻めと守りの知恵


知っておきたい将棋のことば


コラム 駒落ち


羽生善治の将棋入門 第4巻「戦法と定跡に学ぶ」 目次


表紙の言葉

まえがき


第1章 さまざまな振り飛車戦法


第2章 さまざまな居飛車戦法


知っておきたい将棋のことば



羽生善治の将棋入門 第5巻「考えることを楽しもう」 目次


表紙の言葉

まえがき


第1章 将棋とはなにか、考える


第2章 実戦に学ぶ手筋と格言


知っておきたい将棋のことば