読者の皆様こんにちは。雁木師でございます。今日は「描く将プレイバック」のコーナーをお送りします。このコーナーは、将棋世界に応募したものの掲載されなかった作品や、応募しないで旧Twitter(現在のX)に投稿した作品を紹介しながら当時を振り返るという企画です。今回紹介するのはこちらです。
こちらのイラストは、梶浦宏孝七段です。イラストの紹介の前に、梶浦七段についてご紹介します。梶浦七段は2015年に四段昇段。師匠は将棋と麻雀の二刀流でご存じの鈴木大介九段で、大内延介九段一門の系譜を継ぐ棋士として知られています。
竜王戦に相性がよく、第32期竜王戦では6組ランキング戦で優勝。翌33期でも5組ランキング戦で優勝し、決勝トーナメントでも4勝をあげる大活躍で「梶浦ドリーム」とも呼ばれる実績を重ねます。続く34期も4組ランキング戦で優勝。3期連続のランキング戦優勝の規定により七段に昇段されました。決勝トーナメントでも3勝をおさめ、前期に続いて「梶浦ドリーム」の大活躍でした。このほかには、銀河戦出場の実績もあります。現在は竜王戦は3組、順位戦はC級2組で7勝2敗の成績で、最終11回戦に勝てば他力ながら昇級の可能性を残しています。
ABEMAトーナメントの常連棋士としても知られています。第4回はエントリーチームとして参加、第5回は佐藤天彦九段に指名、昨年の2023では羽生善治九段から指名を受けました。また、師弟トーナメントにも参加された実績があります。
2021年の将棋の日にご結婚を発表。少年ジャンプ+にて連載されている「バンオウー盤王ー」にて第31話より監修も務められています。
では、イラストに話を移します。このイラストを描いたのは2年前。梶浦七段がご結婚を発表された時期に描いてみようと決断しました。当時の私は、棋士のイラストと将棋めしのイラストを月に1枚ずつ交互に描いていた時期で、奇数月に棋士のイラストを、偶数月に将棋めしのイラストを将棋世界に送っていました。このイラストを送ったのは2年前の元日。「梶浦ドリーム」の再来に期待を込めて描いた記憶があります。
このころの私のイラストは「再現絵師」を目指すというもの。もとになった画像にできるだけ近づくようにイラストを描くスタイルです。イラストの工夫はスーツの色。元の画像をよく見ると、梶浦七段は濃紺のスーツを着ているように見えたので、フリクション鉛筆で「ネイビー」を選択して塗ってみました。しかし、写真画像で見るスーツの濃紺と私がイラストで表現したネイビーは明らかに感覚が違い、黒系統のグレーのフリクション鉛筆を混ぜて再現することに。しかし、グレーは薄くネイビーが強調されてしまうことに。
「それも味か」と思いましたが、よくよく考えると私のイラストの癖が災いした形になりました。私はイラストを描くときに、色鉛筆やフリクション鉛筆を採用しますが、絵を塗るときについ右手に力が入ってしまう癖があります。「塗る」というよりも「塗りつぶす」感覚というべきでしょうか。さらに言えば1色で塗りつぶす癖が強く、ほかの色と掛け合わせるというのが少ないのが欠点の1つです。
この欠点は母から指摘されたもので
「1色ですべてを表現するのは限界がある」
と言われたことがあります。また、私は将棋世界に作品を送るときは、作品をプリンタースキャンしてPCへ取り込み、PCメールに添付して送るという手法を用いて作品を送ります。人間の目で直接見る色彩感覚と、PCで取り込んだ作品の色彩感覚では若干違って見えるということもあります。
いずれにせよ、私のイラストは力んでいる印象があるといえます。もう少し柔らかく描きたい、そう思うこともあります。
これで、描く将プレイバックを終わります。次回もどうぞお楽しみに。
今日はここまでとさせていただきます。本日も最後までお読みいただきありがとうございました。