将棋ポエム「順位戦」 | 将棋大好き雁木師の新将棋文化創造研究所

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「将棋大好き雁木師の将棋本探究」をリニューアルしたブログです。
主に将棋に関する詩などの作品紹介と、自分の将棋の近況報告を行います。

読者の皆様こんにちは。雁木師でございます。今日は将棋ポエムの作品発表です。早速作品を披露したいと思います。

 

順位戦

 

棋士生命を

懸けた戦い

 

名人への道を

懸けた戦い

 

自分自身を

懸けた戦い

 

そして未来を

懸けた戦い

 

年齢も

実績も

関係ない

 

勝てば未来が

切り開け

 

負ければ命が

削られる

 

だから皆

時を忘れて

盤を見つめる

 

あらゆるものを

背負っているから

 

だからこの日は

長い戦いだ

 

 

解説:今回の作品はいかがでしたでしょうか?ここからは、作品と将棋にまつわる解説に入ります。

まずは作品の解説から。今回は将棋界で最も権威のある棋戦とされている、順位戦を詠んだ詩を書いてみました。なぜ、順位戦が権威のある棋戦なのかについては後程触れますが、ほかの棋戦でシード権を獲得できることや順位戦のクラスによって収入が変化することなどもあるので、棋士は「順位戦に生活がかかっている」といっても過言ではないのです。

さて、作品の全体構想をみると前半は「懸けた戦い」を4連続で用いました。最初の

「棋士生命を

懸けた戦い」

は棋士によっては、順位戦を戦えなくなったら即引退に追い込まれるケースもあります。これをやや大袈裟に表現してみました。

「名人への道を

懸けた戦い」

順位戦A級で1位の成績を収めた棋士が名人に挑戦できるという仕組みです。将棋では、公式戦の名人になるのはそう簡単ではありません。これも詳しくは後述しますが、名人になるにはプロデビューから最短でも5年かかるとされています。現在の藤井聡太名人も、名人への道のりの過程において1年足踏みした時期がありました。名人への道はとてつもなく険しい道のりです。

「自分自身を

懸けた戦い」

は続く

「そして未来を

懸けた戦い」

と連動しています。この2つに関しては「順位戦に消化試合というものはない」ということを表現したかったのです。後述しますが、順位戦はその名の通り棋士の順位を決める戦い。1勝と1敗の価値がほかの棋戦と比較してとてつもなく大きいのです。もちろん、他の棋戦も負けたら終わりのトーナメントが多いので負けてはいけませんが…。

 

さて、作品の中盤に入ります。

「年齢も

実績も

関係ない」

はまさに偽らざる言葉だと思います。かつての史上最年少名人で、2年前に永世名人を襲名された谷川浩司十七世名人は、現在はB級2組で在籍されており61歳。それでも名人を目指して多くの猛者としのぎを削られています。永世名人称号を持つ棋士が現役ぼ順位戦B級2組で戦うというのは、私の記憶の中では前例を見聞きしたことはありません。

永世名人を襲名された方、もしくは有資格者の中にはフリークラスに転出される方もいます。十八世名人の有資格者である森内俊之九段は、A級陥落の翌年度にフリークラス入りを宣言。現在は順位戦には参加されておりません。名人の道にこだわるか、あきらめるかは人それぞれですが、当時の森内九段のフリークラス宣言は衝撃をもって受け止められた記憶があります。

 

さて、作品の解説に戻ります。後半に入り

「勝てば未来が

切り開け

負ければ命が

削られる」

という文章は、勝者への希望敗者への残酷な現実の対比を生かすための文章です。これは、B級2組以下の降級点制度を表現したくてこのような対比を書きました。降級点制度も後述しますが勝ち続けなければいけない順位戦において、降級点が意味するものはとても大きいものです。

「負ければ命が

削られる」

というのはやや大袈裟にも聞こえますが、たった1つの負けが棋士生命をも左右すると思っていただければ幸いです。

 

さて、締めくくりの文章

「だからこの日は

長い戦いだ」

について、これは順位戦の持ち時間がすべての棋戦で最も長い6時間であること。A級順位戦最終局が「将棋界の長い一日」と呼ばれていることに由来します。かつての順位戦は、それこそ「死闘」と呼ばれる戦いが多く、深夜まで対局が続くことも珍しくはありませんでした。しかし、最近はAIを用いた研究の台頭や細かなルール改正もあってか、持ち時間を余して決着するケースも増え、早い場合では昼食休憩前に決着がついてしまうケースも出てきました。藤井聡太名人も、かつて順位戦を戦っていた時に昼食休憩前に勝ったことがあり、食べる予定だった昼食を記録係の奨励会員にごちそうしたというエピソードもあります。

 

しかし、いつの時代も棋士にとって順位戦は大切な棋戦であることは変わりありません。名人の道のりであることはもちろんのこと、収入が変わるなどの棋士生活の変化や、他棋戦のシードにも反映される基準でもあります。なので順位戦の戦いは

「あらゆるものを

背負っているから」

簡単に負けるわけにはいかないのです。

 

 

さて、詩の技法などに関してですが、分類は口語自由詩。技法としては前半の「懸けた戦い」を4度繰り返したことはリフレインに当てはまるかと思います。特徴としては、七五調の文体が多めなことが言えます。これに関しては、短歌のリズムを引用している節があります。

 

※参考文献はこちらから

さてここからは、将棋を楽しむための解説です。今回は順位戦のシステムと影響力を取り上げたいと思います。

現在の順位戦の仕組みは、トップに君臨する名人からなるピラミッド方式です。名人→A級→B級1組→B級2組→C級1組→C級2組という順番でランク付けされています。また、順位戦に参加できない「フリークラス」という制度もあります。では、順番に階級の特徴を見ていきます。

 

A級…文字通りトップクラスの実力を持つ棋士の集まりです。定員は原則10名。リーグ戦は6月から10か月近くにわたって行われる総当たり戦です。1位の成績を収めた棋士が名人への挑戦権を獲得。成績下位の2名がB級1組へ降級となります。

A級順位戦最終局に当たる9回戦は「将棋界の長い一日」とも呼ばれ、名人挑戦と残留争いが毎年注目を集めています。近年は、静岡県の浮月楼にて一斉対局が行われています。

今期のA級順位戦は2/29(木)に最終一斉対局が今年も浮月楼で行われ、結果は豊島将之九段が藤井聡太名人への挑戦権を獲得。広瀬章人八段と斎藤慎太郎八段がB級1組へ降級となりました。

 

ここで気になる疑問が出てきた方もいるかと思います。もしトップの成績が2人以上いた場合はどうやって名人挑戦を決めるのかということです。

実は第76期順位戦A級では、6勝4敗で6名の棋士が1位タイの成績という前代未聞の事態が発生しました。

この場合は、パラマストーナメント形式を用いたプレーオフが行われています。パラマストーナメントとは最終的な勝者が優勝となる方式で、将棋では銀河戦の本戦トーナメントで用いられるトーナメント方式です。この期の順位戦に当てはめてみると、6勝4敗でプレーオフに進出したのは稲葉陽八段(1位)、羽生善治竜王(当時・2位)、広瀬章人八段(当時・4位)、佐藤康光九段(8位)、久保利明王将(当時・9位)、豊島将之八段(当時・10位)の6名。この場合は順位の一番低い豊島八段が一番下のクラスから勝ち続けなければならない仕組みのトーナメントになり、豊島八段はこのトーナメントを勝ち続けたので過密日程を強いられました。

順位戦A級は棋士にとっては大きなステータスの1つとも言えます。

 

 

B級1組…A級から陥落した棋士やB級2組から昇級した棋士を合わせた13名による総当たり戦です。順位編成はA級から降級した棋士を1位・2位。以下前期の成績順に10位まで。そして、B級2組から昇級した11位・12位・13位の棋士の順です。実績のある棋士と勢いのある棋士のぶつかり合いが多いのが特徴で、またの名を「鬼の棲み処」とも呼ばれています。このうち、A級へ昇級できるのは成績上位2名、成績下位3名がB級2組へ降級となります。また七段の棋士がA級昇級を決めた場合は、規定により八段に昇段となります。

昇級、降級においてポイントになるのは「順位」です。昇級において、成績が同星だった場合は、順位の上の棋士が昇級となります。一方で、降級の場合は成績が同星だった場合は順位が下の棋士が降級となります。

今期のB級1組は千田翔太七段と増田康宏七段が昇級を決め、お二人とも規定により八段に昇段されることになりました。

一方で、降級は屋敷伸之九段、木村一基九段、横山泰明七段の3名に決まりました。屋敷九段(10位)は5勝7敗の成績で三浦弘行九段(5位)、山崎隆之八段(7位)と並んでいましたが、その中で順位が最も低いということで降級が決定しています。このように、残留者と同じ成績を残しながらも降級の憂き目に遭ってしまうということは順位戦ではどのクラスでもよくあることで「順位戦に消化試合はない」という言葉を改めて感じます。

 

 

 

B級2組…このクラスから定員の制限なくなります。また、総当たりのリーグ戦ではなく、1人10局対局となります。順位は、B級1組から降級した棋士を1位。以下、前期の成績順、C級1組からの昇級した棋士、前期降級点を取った棋士の順番です。成績者上位3名がB級1組へ昇級。六段の棋士が昇級を決めた場合は、規定により七段に昇段します。

降級点はリーグ参加者の4名に1人の割合で成績下位の棋士につき、降級点を2つ取ると、C級1組に降級となります。また、降級点は勝ち越しするか、2回連続で5勝5敗の成績を収めれば消えることになります。

今期のB級2組の参加者は28名。昇級を決めたのは、大石直嗣七段、髙見泰地七段、石井健太郎六段です。石井六段は規定により、七段に昇段されました。なお、今期は髙見七段(7位)、石井六段(21位)、青嶋未来六段(22位)の3名が8勝2敗で並びましたが、青嶋六段が順位の差で昇級を逃す結果となりました。このように、昇級者と同じ成績を残しながら、順位の差で昇級を逃したことを「頭ハネ」と呼びます。順位が下位の棋士は、この「頭ハネ」に泣かされるということが順位戦の厳しさを物語っています。

降級点がついたのは7名。このうち2つめの降級点がついた阿部隆九段、中村修九段、畠山鎮八段、飯島栄治八段、井上慶太九段の5名がC級1組へ降級となりました。

 

 

C級1組…順位編成はB級2組から降級した棋士がいればその棋士を1位。以下前期の成績順、C級2組から昇級した棋士、前期降級点を取った棋士の順番です。成績上位3名の棋士がB級2組へ昇級。五段の棋士が昇級を決めた場合は規定により六段に昇段します。

降級点は、リーグ参加者の4.5名に1人の割合で成績下位の棋士につき、降級点を2つとるとC級2組へ降級となります。こちらも、降級点は勝ち越し、もしくは2回連続で5勝5敗の成績を収めれば降級点は消えます。

今期のC級1組の参加者は31名。昇級を決めたのは、服部慎一郎六段、古賀悠聖五段、伊藤匠七段です。古賀五段は規定により六段昇段が決まりました。古賀新六段はフリークラス編入を経てから順位戦に参加されていますが、2年連続で順位戦昇級。かつては「フリークラスから順位戦に参加した棋士は順位戦で昇級できない」といわれるジンクスもありましたが、見事に跳ね返してのB級2組昇級です。

なお、伊藤匠七段(1位)と都成竜馬七段(4位)は同じ8勝2敗の成績ですが、順位が上位の伊藤匠七段が優先的に昇級ということになり、都成七段は「頭ハネ」で昇級を逃す結果になりました。

降級点がついた棋士は6名。このうち、2つ目の降級点を取った高橋道雄九段と日浦市郎八段がC級2組へ降級となりました。

また、先崎学九段は降級点を1つ持っていましたが、今期のリーグ戦を6勝4敗で勝ち越し。降級点を消去されています。先崎九段は羽生世代の棋士の1人で、現在53歳。年齢が上がるにつれて勝ち続けるのが難しくなるとされている現在の将棋界において、50代での順位戦の降級点消去は立派とも言えます。解説やエッセイが魅力的な先崎九段ですが、まだまだ現役で頑張ってほしい棋士でもあります。

 

 

C級2組…順位編成はC級1組から降級した棋士がいればその棋士を1位。以下前期の成績順、前期降級点を取った棋士、三段リーグから四段昇段を果たした棋士の順番です。フリークラスから順位戦に参加する場合は、10/1以前に参加資格を得た場合は新四段の上に、10/2以降に参加資格を得た場合は新四段の次に編入されます。

成績上位3名がC級1組へ昇級。四段の棋士が昇級を決めた場合は、規定により五段に昇段します。

降級点は、リーグ参加者の4.5名に1人につき、降級点を3つとるとフリークラスへ降級となります。なお、2つ目の降級点を取っている棋士が勝ち越し、もしくは2回連続で5勝5敗の成績を収めた場合は降級点が1つ消去されます。ただし、1つ目の降級点は昇級もしくは降級しない限り消えることはありません。

今期のC級2組は10回戦が終了して、冨田誠也四段(12位)、高田明浩四段(18位)、藤本渚四段(52位)が8勝1敗で先頭グループ。7勝2敗は梶浦宏孝七段(7位)、池永天志五段(10位)、八代弥七段(11位)、岡部怜央四段(22位)、石田直裕五段(36位)、村中秀史七段(37位)の6名です。このうち、C級1組へ昇級できる可能性があるのは、8勝1敗の3名と、7勝2敗のうち順位が上位の梶浦七段、池永五段、八代七段の3名の合計で6名。この6名は最終11回戦で直接の対戦がないため、2敗の棋士はとにかく勝って、1敗勢の結果を待つことになります。このように、自分が勝っても昇級が決まらず、他人の結果次第で昇級できるかが決まることを「キャンセル待ち」と呼びます。

一方で降級点は今期は12名につきますが、このうち青野照市九段(51位)に3つ目の降級点がつくことがすでに確定しております。青野九段は現在現役最年長の71歳。後程触れますが規定により、現役引退が確定しております。

C級2組の最終11回戦は3/12(火)に行われます。どんなドラマが待っているか、楽しみにしたいところです。

 

 

以上が、順位戦の仕組みとなっています。今回紹介した以外にも実は規定が存在します。例えば、病気などにより休場した場合の

取り扱いはどうなるかなどについては、日本将棋連盟のHPを掲載いたしますのでこちらも併せてご確認ください。

 

 

 

ここからは、順位戦に参加しない「フリークラス」という制度について解説します。フリークラスに編入されるパターンは以下の通りです。

・順位戦C級2組で降級点を3つとってフリークラスに降級

・順位戦に参加しないことを表明(「フリークラス宣言」と呼ぶ)

・三段リーグで次点を2回獲得して四段編入

・プロ棋士編入試験に合格して四段編入

 

このうち「宣言」によってフリークラスに編入された棋士は、2度と順位戦に復帰することはできません。

 

次に、フリークラスに四段編入されるとどうなるのかを見ていきます。前述のリンクによれば、フリークラスを脱出する方法は

1.年間対局(4/1~3/31の期間)の成績で「参加棋戦+8」勝以上の成績を挙げ、なおかつ勝率6割以上。

2.良い所どり、30局以上の勝率が6割5分以上

3.年間対局数が「(参加棋戦+1)×3」局以上。ただし、同じ棋戦で同一年度に2度(当期と次期)対局のある場合も1棋戦として数える

4.全棋士参加棋戦優勝、タイトル戦挑戦

 

とあります。一番多いのは2番目の「良い所どり」でしょうか。来期から順位戦に参加される折田翔吾五段も、直近成績の良い所どりで順位戦の参加資格を獲得されています。もし、上記の成績を四段編入されてから10年以内、もしくは満60歳の誕生日を迎えた年度までに取れなければ引退となります。なので、フリークラス脱出のためには1つの勝ち星がとてつもなく大きな意味を持つことになります。

 

次に、フリークラス棋士の引退規定についてみていきます。宣言によるフリークラス棋士の場合は、原則として65歳それ以外のフリークラス棋士は原則として60歳が定年で引退となります

宣言以外でフリークラス編入された棋士は、C級2組から陥落(もしくは四段編入)10年以内に順位戦に復帰(参加)できなければ引退となります。過去に一度順位戦のC級2組から陥落して再び順位戦に復帰した例は2人。現役では、島本亮五段のみ。引退された伊藤博文七段もこのケースで順位戦に復帰されています。なお、伊藤博文七段の順位戦復帰までの道のりは、今月発売の将棋世界4月号に掲載されている「師弟」のコーナーにて詳しく書かれています。

 

 

 

いかに一度順位戦から退いたら再び復帰するまでに幾多の困難が待ち受けているかがよくわかります。

 

宣言によるフリークラス棋士の場合、順位戦在籍最短可能年数(現在のクラスから、降級と降級点を毎年続けた場合の順位戦に在籍できる年数)+15年の年月が過ぎると引退となります。ただし、65歳になると原則が適用されて、この年数に達しなくても引退となります。

その一方で、順位戦在籍最短可能年数の間なら65歳を過ぎても現役でいることが可能となります。例えば、60歳でB級2組に在籍、降級点を保持していない棋士がフリークラスに宣言した場合、B級2組の最短2年、C級1組の最短2年、C級2組の最短3年の合計7年間は現役で活動することが可能となり、67歳まで現役を続けることができます。

なお、先ほど青野九段の引退が確定したと述べましたが、60歳を過ぎてのC級2組陥落のため「強制引退」となります。青野九段は引退確定後に通算勝ち星800勝を達成され、将棋栄誉敢闘賞が贈られることになりました。

 

 

残っている対局は、順位戦の第11回戦(対安用寺孝功七段)と竜王戦6組昇級者決定戦(対局者未定)。そして王将戦一次予選の2回戦(対渡辺和史六段)となります。

 

将棋世界の4月号によれば、現在フリークラス棋士として現役を続けられている方は34名。中には森内九段、南芳一九段、福崎文吾九段といったタイトル獲得経験者や、脇謙二九段や富岡英作八段、中田功八段といった定跡を作り上げた棋士もいます。詰将棋ハンドブックでおなじみの浦野真彦八段、「教授」の愛称で親しまれ、雑誌の解説でも知られる勝又清和七段も宣言によってフリークラスに編入されています。また、折田五段は前述の通り来期から順位戦に参加しフリークラス卒業。昨年編入試験を合格された小山怜央四段は、フリークラスからの卒業が目標となります。

 

以上で順位戦とフリークラスについての仕組みを解説を終わります。こうしてみると、やはり順位戦が棋士にとってとても重要な棋戦であることがわかります。ここからは、順位戦のランクがほかの棋戦にどんな影響を与えるかについて見ていきます。

 

わかりやすい例といえば、シードです。その一例としてNHK杯戦を見ていきます。NHK杯戦のシードは様々な条件がありますが、その1つに順位戦のクラスがあります。現在大詰めを迎えている第73回NHK杯では、2022年度のB級1組以上の棋士に予選免除のシードが与えられています。ほかの棋戦でも順位戦のクラスによって、棋戦のシードが付与されます。中には、順位戦がA級でないと一次予選が免除にならない棋戦もあります。詳しくは、下記リンク記事をご参照ください。

 

 

こうしてみると、順位戦のランクが低い棋士がシードを獲得するには、その棋戦で好成績を収めない限りシードの獲得は難しいのがよくわかります。やはりこういう側面からも、順位戦の価値がいかに高いかが分かります。

 

以上で、作品と将棋にまつわる解説を終わります。ご意見やご感想、リクエストもお待ちしております。

 

 

近況:強さ弱さ

最近、短歌を詠まなくなりましたが、あることがきっかけで再び短歌に取り組むことになりました。B級1組順位戦最終13回戦が行われた3/7(木)のこと。私は久しぶりに県西部の将棋施設にお邪魔しました。その帰り道で車を走らせていた時、頭の中に短歌のネタが浮かんだのです。それは「」というもの。

人間には「強み」と「弱み」というものがあるということは感じていました。しかし、最近の私は仕事でも将棋でもそれ以外でも「弱いな」と感じる出来事が増えてきたのです。逆に自分の「強み」とは何かを考えることも出てきました。そこで、短歌であらゆるものの「強さ」と「弱さ」を表現してみようということを思いついたのです

 

というわけで、将棋における「強さ」と「弱さ」を短歌にしてみました。

 

勢いが

前へ出ると

強く見え

後ろへ下がると

弱く見えるや

 

将棋の駒の動かし方をよく見ると、歩兵、香車、桂馬は後ろに下がることができません。銀将、金将は向きは違えど下がれない箇所があります。銀は真後ろ、金は斜め後ろに動けないですね。角は斜めにいくらでも、飛車は前後左右にいくらでも動けます。そして王将は全方向に1マスずつ動けます。ある棋士の話では

将棋の駒は前へ進むようにできている

という話を読んだことがあります。

思えばこの日の遠征先の施設で私は負け続けましたが、相手の勢いに押し込まれて防戦一方になりずるずる負けてしまう将棋が目立ちました。駒の勢いがある将棋はどんな戦法でも勝ちやすく、逆に駒の勢いが下がっているとどんな戦法でも負けやすいと感じます。棒銀戦法が優秀と称されるのは、明快な攻め筋ももちろんですが、勢いがあることが大きいといえます。歩を手持ちにでき、銀が前進。飛車が敵陣を直接狙えるという3つのポイントが幅広く支持されていることが大きいのではないかと思います。

 

このように駒にも「強み」「弱み」があるように、人間、機械、組織、社会…あらゆるものに「強さ」「弱さ」がある。私はそう感じて「強弱」を使った短歌を詠もうと決めました。

ルールはこんな感じです。

・1日1首、Xにポスト

・必ず「強」「弱」の文字を1文字ずつ入れる

・読み方は音読みの「強(きょう)」「弱(じゃく)」でも訓読みの「強い(つよい)」「弱い(よわい)」でもOK

 

名付けて「短歌」と命名しました。あらゆるものの強弱を短歌で詠むことで、自分の「強さ」「弱さ」を学ぶ。自分を知る上でも大事なのかなと思います。どこまで続くのかはわかりませんが、ネタ尽きない限りやり続けたいと思います。

 

 

さて、長々と話してきましたが今日はここまでとさせていただきます。本日も長文となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

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