●皐月の空の異変に気づく
今年は何十年か振りに風薫る季節が到来した
かれこれ40年になるここでの暮らしは年々煤煙に圧され居ずらくなっているところだ
他所へ越す考えは春がくる度に増し黄砂混じりのpmと戦うのが嫌になっていた
小高い丘の上の暮らしは年寄りには不向きで早めに死んだ者以外は施設に入るためにやがて居なくなる
子どもが越して来なければそろそろ考えなければいけなくなっていた
災いの主人は皐月になっても姿を現さない
何の裏切りであろうか
半身は喜び半身は不可解のまま5月も中半になる
原因を大陸に求めるのは滑稽かもしれないが大陸に何か変化があったのかもしれないと思う