女は輝く様な笑顔を見せた。
「あら、いらっしゃい」
エミは微笑んだ。翔は小さなブーケをエミに渡した。エミの顔がほころぶ。
「いつもありがとう」
「いいのよ、座って。お花ありがとう」
小さなクラブ。翔はショットを頼んだ。
「ほんとはお礼が出来たらいいんだけど」
「それやったら捕まっちゃうからね」
二人は笑った。
「だけど良かったわ、さっきあの子から電話があってね、嬉しくて泣いた、って。あの子ずっと貴方に憧れてたのよ。引っ込み思案の子だけどほんとにいい子だから応援してたの。今日はいい日だわ」
エミは微笑んだ。
「あたしはあんた好きよ。若いけど頑張ってる。本当に」
翔は頷いた。
エミは何となくわかっているのだろう。
風の噂で。
「女に優しい所が偉いわよね、しかも分け隔て無く全部の女に優しい、素晴らしい」
翔は少し照れた様に鼻をかいた
「俺にとって、女は宝だから」
エミは胸に上って来る熱い物を抑えずにはいられなかった。思わず涙ぐむ。
「乾杯」
エミはそう言ってグラスを傾けた。
翔もそれに応えた。心地良い音がした。
真夜中近く、翔はそっと玄関のノブを回した。なるべく音を立てずに。由樹がそっと駆け寄る。
「お帰りなさい、お仕事は」
「今日はちょっと。今日はもういいですよ、と言ってもこんな時間じゃ、」
「大丈夫ですよ、車で来てますから」
「じゃあ下まで」
由樹は上着を手にしながらそっと後ろのミギコを振り返った。暗い部屋に響く安