東京フクロウ31 | 小説のブログ

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柏原玖実といいます

由樹は胸に感動を覚えた。

「いえ・・・私なんて」

圭太は少し顔を曇らせた。由樹がそれに気づく。帽子を深くかぶり視線を合わせずに尋ねる。

「ミギコは・・・」

由樹は少し憂いを残しながら何も答えなかった。圭太は頷いた。

「何かあったら電話下さい。夜中でも。俺こう見えても警察官なんです。不細工ですけど」

由樹は苦笑した。

「心強いです。安心して看護が出来ます。私も皆さんの友達の中に入れて下さいね」

「もちろんです。じゃ」

圭太は去って行った。

由樹は通路の空を見上げた。

やがて風は冷たくなるだろう。

 

女の髪が揺れる。

翔は腕の上で優しく撫でた。

「ありがとう」

女の優しい声。

翔は思っていた。

女の声は何ていい声で響くんだろう。いつもこの胸に。

「初めてが俺で良かったの?」

女は頷いた。

「ずっと憧れてたんです、ほんとにありがとう」

女はそう言うと立ち上がり、服を着た。

翔はドアの所で優しく女の頬を撫でた。

「ありがとう、と言ってくれる女ほどいい女はいない。君、イケてるよ」

「そんな、私なんて・・・」

翔は微笑んだ。

「女にとって一番大事なのは"可愛げ"だ。君はそれを知らずに使っている。頭のいい女だと思うよ。今日は出会えて良かった。女にとって一番大事なプレゼントをありがとう」