東京フクロウ30 | 小説のブログ

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柏原玖実といいます

圭太はミギコと翔の部屋に来ていた。

ミギコの寝ているベッドの横の椅子に座る。

「思ったより顔色がいいんで安心したよ」

「うん」

圭太の優しい笑顔。

由樹はそれを見ながら台所でお茶を入れていた。

「新しい車買うんだ。春にな。それで俺の家族も連れてドライブに行こう。どこに行きたい?」

「あそこがいい、大きな滑り台があるとこ、前に皆でお花見した所」

「じゃあそこにしよう。それまでに治さないとな」

「うん」

ミギコは飛び切りの笑顔を見せた。

「翔はいつも遅いのか」

「うん。バーが終わってからもお客さんとの付き合いがあるからって」

圭太は頷いた。

「でも・・・」

「どうした」

「時々思うんだ。あたしが翔の人生壊しちゃったんじゃないか、って・・・」

圭太は優しく微笑み、そしてミギコの髪を優しく撫でた。

「なあミギコ。誰でも病気になるよ。ならない人間なんていないよ。俺だってなるよ。その時はカミさんが看病してくれるし、俺もカミさんが病気になったら看病するよ、それはお互い様なんだ。家族だったら当たり前の事なんだよ。今度翔が病気になればその時はミギコが看病してやればいい。何でもお互い様だよ、そうだろう?」

「うん」

ミギコは微笑んだ。

「お茶どうぞ」

由樹がカップを圭太に渡した。

「すいません、仕事なんで一口だけ、よばれます」

圭太はカップのお茶を一口飲むと立ち上がりミギコの顔を撫でた。

「また寄るからな」

「ありがと、圭ちゃん」

圭太と由樹は玄関の外に出た。圭太は由樹に靴べらを返した。

「由樹さんが通ってくれて助かってます、これ以上の安心は無い、ありがとう」