長くなったので二話に別れています
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【Day64 2025.11.6 ラサ→ シュンケイラ33km】
この日記で大好きな人のことばかり書いてきたが、私にも苦手な人、嫌いな人はいる。
それがここ数日、一緒の宿になったフランス語話者の二人だった。
特にガタイのよい方が苦手だ。
自信満々で、なんでも自分が正しいという感じだった。
初めて一緒の宿に泊まった朝、“よく眠れた?”と聞かれたので“あんまり寝れなかった”と答えた。
すると“君は寝る時に服を着すぎているからだ。もっと薄着で寝るべきだ。僕は裸で寝るからよく眠れる”と言われた。
聞かれたから答えただけで、誰もあなたに相談していない。
余計なお世話だ。
いいおじさんが、やたらとポーラに構うのも見苦しかった。
ポーラ、レストランに行くよ。
ポーラ、朝ごはんの時間だよ。
ポーラ、サンティアゴで待っているからね。
ポーラがあしらっているのがわからないのだろうか。
それに二人がずっと一緒にいるのも解せなかった。
最初から一緒に歩く前提の家族や友達なら当然だが、この道で会った仲間なのだという。
それが朝起きてから出発からずっと一緒で、歩きも一緒、晩ごはん一緒だ。
数日ならわかるし、同じ宿の仲間と食事を取るのは自然だが、朝から晩までずーっと一緒だなんて、余計なお世話だが、私の美学には反する。
一人で歩くからこそわかることがある。
だから一人旅をしているのではないか。
悪い人ではないのだが(この言い回しの後は悪口がくるのが常套だ)、私は好きになれなかった。
これだけ大勢の人に出会っているのだ。
多少は苦手な人や嫌いな人がいても良いだろう。
昨日、宿でポーラと二人になるとポーラが私に聞いてきた。
シー、あのガタイの良い人の名前知ってる?
え?それ私がポーラに聞こうと思ってたの。
聞いたけどよくわからなくて。
あなたたち仲良いじゃない。
それが、私も聞いたけど覚えられなくて。
いつも、Hey, youで誤魔化してたんだけど。
私は爆笑してしまった。
君はポーラに名前さえ、覚えてもらえてないのだよ。
今日は21km強の予定で歩き始めた。
ジョンは別れてから毎日、面白ろ画像を送ってくれる。
今日はポンチョの自撮り画像と巨大マッシュルームとの自撮り写真が送られてきた。
思わず吹き出してしまった。
離れていても、彼はいつも笑いで心を軽くしてくれる。
そうだ!
もしジョンとサンティアゴで再会できたら、あのブレスをプレゼントしよう!
それはジョンと会った翌日の町の教会で買った、カミーノマーク入りのブレスレットだった。
自分用に買ったのだが、付けてみるとぶかぶかだった。
調整も効かず、仕方ないのでウェストポーチに突っ込んでいた。
男性でないと大きすぎると思われるが、お土産にしたってカミーノマークなんて、この道を歩く人以外は興味がないだろう。
ジョンはいくつかのカミーノグッズを身につけていたので、ピッタリな気がした。
しかし、サンティアゴで会えるだろうか?
カーリーンからは、明日は今日より天気が悪いので、予定より12km先の町まで歩くと連絡がきた。
12km先かあ。
確かに21km先の町では早く着きすぎてしまう。
宿は夜までヒーターが効かないところが多い。
このまま着いても寒くて凍えてしまうかもしれない。
さらにこの先の予定を見ると、オーレンセが目と鼻の先だった。
カーリーンが向かう町まで行けば、明日は23kmでオーレンセである。
21km先の町でストップすると明日35km歩くか、刻んで歩くかのどちらかになる。
カーリーンにもジョンにもまた会いたい。
私は今日、12km プラスで歩くことに決めた。
私はカーリーンに、
私もその町まで行くね。
でも遅くなるから私のことは気にしないで。
と送ると、
レストランを調べておくね
と連絡があった。
晴れたり雨だったり、忙しい一日だった。
その間、2回もあのフランス語兄弟に会ってしまった。
彼らも同じ町の同じアルベルゲを目指すという、
やれやれ。
こういう人に限って、いちいち同じタイミングになるものだ。
こちらが思っているのと同様、向こうも苦手なのではないか。
アルベルゲでまた会おうと、なんだかぎこちない挨拶で別れた。
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つづく