【Day48 Camino de Santiago】2025.10.21 仲間たち(1) | ちびタンクのひとりごと

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大好きな旅のこと、心理学・スピリチュアル・ヨーガのこと、日々の気づきなどをつぶやいています♪

長くなったので二話に分かれています。


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【Day48 2025.10.21 ペドロシージョ・デ・ロス・アイレス→サラマンカ 33km】 


昨日、私が宿に着くとアルベルゲの二段ベットの下はすでに埋まっていた。

これまでで一番狭いのではないかと思われるアルベルゲだった。

4つの二段ベットと1つのシングルベットがキツキツに置かれたベットルーム。

ダイニングは6畳ほどのスペースに、壁につけられたテーブルと椅子が3つ、ソファ、窓側の一角に電子レンジと電気コンロが一つ。

バスとトイレはセットで一つ。水場はこのトイレの洗面台しかなく、食器もここで洗う。

私と同時にやってきたおばさんと、その後も立て続けに巡礼者がやってきて、ベットはすぐに埋まってしまった。

みんな知り合いで新参者は私だけのようだ。

メンバーは粗野な感じで、すぐに仲良くなる雰囲気ではなかった。


一食分の食べ物は持ち合わせていたので、荷物を減らすためにも今日は自炊にしたかったが、キッチンの使い勝手の悪さに、バルに行くことにした。

この町にバルは一つしかなく、行きすがら通り過ぎていた。

来た道を戻るとカナダのトロイに遭遇した。

彼は一日40km歩く強者だが、暗い中歩くのは嫌だそうで、いつも出発が遅い。

再会を喜びつつアルベルゲはフルだと伝えた。この町に他の宿はないし、次の町まで10kmほどある。

オスピタレラに相談するしかないだろう。

アルベルゲはオスピタレラの家に訪問してチェックインを済ませるという珍しいタイプだった。

ちょうどオスピタレラの家の前である。

玄関ベルを鳴らすと恰幅のよいおばちゃんが出てきた。

今、フルなのよねえ、という感じだ。


私がソファで寝るから、彼にベットを与えて。


たまたま通り掛かったポーランドのお姉さんに通訳してもらう。

トロイは”いいの?“と驚いた表情だ。

どっちにしてもソファで寝ようかなと思っていたのだ。空いたベットが有効活用されるならそれに越したことはない。


おばさんとトロイと3人でアルベルゲに向かう。

私はベットの近くに置いてあった荷物を狭いダイニングに移動させた。

おばさんは鍵の掛かっていた小部屋からシーツ類と毛布を出してくれた。

小部屋にはエキストラベットもあったので、最悪の時はそれを出すのだろう。

出すかと聞かれたが、ソファで十分だと答える。

この狭いダイニングでは、エキストラベットを出すのも仕舞うのも大変だし、みんなの居所もなくなってしまう。

トロイはこちらが申し訳なくなりくらい、本当に良いのかと何度も確認する。

チビだからこのソファで十分だよ。それにみんなのいびきを聞かなくて済むしね!私は答えた。


トロイとバルに行って帰ってくると何人かがダイニングで食事をしていた。

ベットのない私はソファしか居場所がない。

荷物を脇において毛布2枚もソファの上なので、必然的にソファを独占してしまう。

ダイニングも狭いので、私としては申し訳ない気持ちだったのだが、みんなの反応は“ベットを譲ったすごい良い人”になっていた。


いや、そんなんじゃないんだけど。


ソファの上で日記をつけていると、ダイニングで食事する人にいちいち食べるかと勧められる。

お腹が空いていないのでお断りするのだが、サラダやらフルーツやらお菓子やら、人と食べ物が変わる度に聞かれる。


ヨーグルト食べる?


ヨーグルトなら頂こうかと“食べる!”と答えると、これも食べなさいとクッキーとジャムが出された。

ジャムはこの近くの人の手作りだそうで、マルメロというカリンに似た果物をレモンと砂糖で煮るのだそうだ。

それが甘酸っぱくて香り豊かで本当においしい。

スライスされたアーモンドが入ったサクサクのクッキーとの相性が最高で、思わず“もう一つ食べて良い?”と聞いてしまった。

全部食べなさい、ジャムはたっぷり付けた方が美味しいよ、と薦められる。


粗野だと思っていた面々は、温かい人たちばかりだった。

ここ数日、急いで歩いてこういう機会を失っていたことを私は少し後悔した。

サラマンカ以降はしっかりと自分のペースで歩き、一つ一つの出会いを大切にしよう。

そう思った。


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つづく