【Day47 2025.10.20 Valverde de Valdelacasa→ ペドロシージョ・デ・ロス・アイレス 29km】 のつづき
(1)から読んでね!
今回ばかりは神様のお遊びもなかった。
私にはどうにもできないので事実を伝える。
気にしなくていい、と少し落胆した様子のボイスメッセージが届いた。
オスピタレラは親切にも私にコーヒーを出してくれて、今日はどこまで行くのと気にかけてくれた。
ちょうどこの先、道は一度二手に別れてまた合流する。
アルベルゲの位置からサイモンが取ったコースと同じ道を行こうと思っていたが、彼から昨日、道に迷って10km以上余計に歩いたと連絡があった。
このルートはわかりづらく、道もとても危険だから止めた方がよいと言われ、不安に思っていたのだ。
良い機会なのでオスピタレラに確認すると、むしろこっちのほうがフラットで分かりやすいと言われた。
じゃあ、分かれる場所だけ気をつければいいですね
というと、
はっきり書かれているから心配することないわよ
と彼女。
一体、何をどうやったらそんな風に間違えるんだ。
実際に歩いてみても、なんら問題はなかった。
ツッコミどころが多すぎて、私は笑いが止まらなくなってしまった。
それには、勝手にメンヘラモードに入っていた自分へのこっぱずかしさと、バカバカしさもある。
なんだか急に夢から覚めたみたいだ。
絡まったチェーンやらフックやらなんて言っていたことも、一気に吹き飛んでしまった。
まさかこんな形で解放されるなんて。
まあ、あのモードのままよりはましだったかもしれない。
あああーーー
この話をベゴにしたい。
当初、スローステップで進むから全てのアルベルゲを制覇し、アルベルゲのレビューを書くね、なんて息巻いていた私が、急に30km前後を連続し始めたので、ベゴが訝しんでいたのはわかっていた。
それで昨日、正直にカミーノ友だちに忘れ物を届けるために急いでいるのと告白した。
そんなのはもっと歩くのが早い人にお願いすれば良いという。
おっしゃるとおりである。
でもそれには思いがあって、どうしても自分で届けたかった。
だから頑張って歩いていたのだけど、急に目が覚めたの!
そんな報告をしたい。
ああ、この歩きが終わったら、やっぱりベゴに会いに行こう。
私はベゴに話す様子を想像した。
私はきっと笑ってしまって、ただでさえわからない英語がさらに意味不明になってしまうだろう。
それでもベゴは一生懸命聞いてくれるだろうが、それでは申し訳ない。
スピーチの事前準備が必要だ。
物語のスタートはアルフセンのアルベルゲ。
私と同じ歳くらいのイタリア人の巡礼者がやってきて…
私はその時酷く落ち込んでいて...
実際に英語で話すことをイメージしてみる。
日時や場所、出来事は日記があるから問題ない。
あとは英語での表現だ。
突っかかるところは調べておこう。
今日のボイスメッセージのくだりで、私は指をパチンと鳴らす。
At that time, I woke up from a Camino dream and realized he wasn’t a knight, but just a fool!!!
その時、目が覚めたの!
彼は王子様じゃなくて、ただのおバカだったって!
爆笑するベゴの姿が目に浮かぶ。
私たちはベットの上で枕を抱えて、仲の良い十代の姉妹が週末に夜更かしするみたいに、話しても話しても話したりないと言った時間を過ごすだろう。
今日も無事にアルベルゲに到着した。
私はその報告と共に、メリダのあと起こったことを全てあなたに話したい!終わったら行くから、時間をあけてね!とベゴに連絡した。
ベゴは、
もちろんよ、うちで数日過ごしてね。
あなたの話に興味深々だからね!
と返してくれた。
一気におバカキャラに成り下がってしまったサイモンと、私はどんな顔をして会うんだろう。
その辺りもベゴに伝えなければ。
泣きながら始まったChapter2は、意外にも喜劇で終わるのかもしれない。