【Day48 Camino de Santiago】2025.10.21 仲間たち(2) | ちびタンクのひとりごと

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【Day48 2025.10.21 ペドロシージョ・デ・ロス・アイレス→サラマンカ 33km】 の続き

(1)から読んでね!


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10月21日朝5時半

いざ出発とドアを開けると雨だった。

一旦中に戻りカサレスで購入したポンチョを被り、改めて出発する。

巨大なポンチョはバックパックも含めた全身を覆う上に、携帯も内側から見れるので大成功だった。

今日は33kmの歩き、道を間違えないようにこまめにルートを確認することと、雨でも休憩を適度に取ることを頭に入れる。

雨は強くなったり弱くなったりを繰り返していたが、明るくなる頃には次第に落ち着いてきた。

8時半、10km先のモリレという町に着いた。

ベンチに荷物を置いて休憩する。

雨は止んだが、空はまだ重い雲に覆われていた。

ポンチョを仕舞うかどうか、迷いどころである。

ちょうど一人のおじさんが通り掛かったので天気について聞いてみた。

こういうことは現地の人に聞くのが一番だ。


おじさんは、今日はずっとこんな感じだね。

大降りにばならないけど、少しは降るかも。

と答えてくれた。


そして、


巡礼者だよね。

この町のオスピタレロなんだ。

アルベルゲに寄って行かないか?


と誘われた。

外は寒い。休憩を兼ねて少しお邪魔させてもらおうと、お言葉に甘える。


ちょうどみんなが出て行って、掃除に取り掛かる時間だった。

おじさんは“ごめん、コーヒーは切らしていて、ミルクでもいいかな?それとこれ、ヨーグルトね”

と牛乳とヨーグルトを出してくれた。


牛乳をレンジで温めてホットミルクにしていただく。

雨で冷えた身体が生き返る。


結局、おじさんと話が弾み30分以上もお世話になってしまった。

トイレもお借りさせていただき大感謝である。

そろそろ出ようかという時、棚に置かれた町のパンフレットが目に付いた。

おじさんに“これもらっていい?”と確認して、その場で紙を正方形に切って折り始める。

おじさんは、一体何をしているのかと私の手の動きに興味津々である。

“はい、グルージャ(鶴)ね!”

そう言ってできた折り鶴を渡すと、

“私に!?”と驚いた様子である。

もちろん、と返すと“持って帰って部屋に飾るよ”といたく感動してくれて、”次はぜひ、ここに泊まってね“と言って送り出してくれた。


おじさんとの出会いにほっこりとした気持ちでアルベルゲを出ると“シーーー!!!”と誰かの声がする。

振り向くと二人の巡礼者が大きく手を広げてやってきた。

ソフィアとスペインのおじさんだ。

二人とはスクールカーストアルベルゲから数日間一緒の宿だった。

ソフィアは小柄だが目鼻だちがキリッとした南米系の美人さんだ。

短くきった前髪に、長く伸ばしたたわわな後ろ髪を、三つ編みにして横に流している。

牧場主の娘というイメージがピッタリである。

さっぱりした男前の性格で、誰かと群れる感じではない。

私は密かにソフィアのファンだったので、彼女が私の名前を呼んで、大きくハグをしてくれたことが嬉しかった。


しばし三人で歩く。

二人はいちいち牛やら馬の写真を撮る。

彼女はイメージ通り動物が大好きなのだそうだ。


歩くスピードが違うのでだんだんと距離が離れると、今度は数日前、同じ宿だったお二人にあった。

私はてっきり、二人はフランス人のカップルだと思っていたが、実際はイタリア人でこの道で出会ったのだと言う。

三人でわちゃわちゃとサラマンカに向かって歩いた。

髪をかなり短くカットしたイタリアのおばさんシルビアは、クールな印象とは違って、歩きながら大声を出したり歌ったり、楽しい人だった。

おじさんの方のダリオは英語を勉強中だそうで、英語で会話できることが楽しい、と私にあれこれ話しかけてくれた。

途中、少し寄り道をして小さな町のバルで三人で休憩する。

”それ、フランチェスコね!“

シルビアのペンダントを見て私が言うと、

“そうなの。タオの形なの“と見せてくれた。

するとダリオが”僕のはこれだよ“とカミーノ巡礼を意味するホタテ貝のペンダントを指ですくう。

”わー、すてき!!!“

私も絶対サンティアゴで購入しよう、と心の中で誓うと、ダリオはおもむろに首にかけていたペンダントを外して、はい、と私に渡した。

”え?いいの?“と聞くと、

”出会った記念にね“と彼はいう。


33km

長く辛い歩きも、みんなのおかげであっという間だった。

楽しくて幸せな歩きだった。

サラマンカでは二日休憩を入れるので、これまで出会ってきた人とはまたズレてしまうだろう。

それでも会える人には会えるだろうし、新しい出会いもあるはずだ。

カミーノを歩くと大好きな人が増えすぎて困ってしまうという、贅沢な悩みが生まれる。