【Day20 モンテルビオ・デ・ラ・セレナ→ カストゥエラ 18km】のつづき
(1)から読んでね!
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宿に戻りシャワーと洗濯を済ませると、お腹いっぱいさで寝てしまった。
目を覚ましたのは6時半。
おそらく7時半か8時くらいからミサが始まる。
その頃には教会が開くだろう。
出かける準備をしていると上着がないことに気づいた。
薄手のパーカーである。
使い勝手がよく旅で愛用していた。
もうボロボロではあるが、無くしたとなると痛い。
何度も荷物をチェックするが、見当たらない。
ランチに出かけたとき、日陰は寒いかもしれないと持参したのだった。
レストランに忘れたのだろうか?
あるいは帰りに寄ったスーパーか?
道で落としたのだろうか?
仕方なく、レストランからの帰り道を宿から辿ることにした。
レストランでは上着を意識していたから忘れてはいない気がする。
スーパーでは上着のことを気にしていなかったな。
と言うことはスーパーだろうか。
その時、ハッと気づいた。
そういえば、帰りがけにバルに一軒、寄ったんだった!
相変わらずゴーストタウンと化す時間帯に、一軒だけ開いている寂れたバルを横切り、誘われるように立ち寄ったのだった。
忘れたとしたらあのバルかもしれない。
夕方の街は賑やかになっていた。
昼間立ち寄ったバルを発見すると外に太ったおじさんが座っていた。
さっきもいたような気がする。
何か話かけられたがよくわからない。
入り口前で“昼間にきました。上着を忘れました”と翻訳機で準備して中に入る。
あれだけ人気のなかったバルもこの時間はおじさんたちで騒々しい。
カウンターの中のスタッフは昼間とは変わっていた。
うるさいおじさんたちを割って入って、翻訳機を見せる。
と同時に奥の棚に上着が置かれているのが見えた。
“それ!”と指差すとスタッフはすぐに事情を理解してくれた。
回収できた上着を羽織って外に出るとさっきの太ったおじさんが頷く。
私も上着の胸元を“これこれ”とつまんで見せた。
ふふふ。おじさんはわかってたんだね。
まったく。
今日、”忘れ物を探しに“って浮かんで、早速探すことになるなんて。
ああ、私はサンティアゴに一体何を忘れてきたと言うんだろう。
果たして見つかるのだろうか?
それはこれからのお楽しみである。
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