Con te Partiro ーvia Francigenaへの招待状ーvol.52 | ちびタンクのひとりごと

ちびタンクのひとりごと

大好きな旅のこと、心理学・スピリチュアル・ヨーガのこと、日々の気づきなどをつぶやいています♪



2019年12月29日

まだ日が昇る前の海辺に向かった。

ロンドンに戻る前に、どうしてももう一度、ドーバーの海が見たかったのだ。


水色とピンクが混在する空に、幻想的な雲が広がっていた。




昇る日の光に晒されて、雲は徐々にゴールドの光に包まれていく。

それはまるで、教会の天井に描かれた絵画のようだった。

そしてそれは、ドーバーで初めて見る日の光でもあった。



人気のない海辺で、私はなおさんが墓石の前で歌ってくれたアメージンググレースを聞いた。そして歌の会で皆んなで歌った「翼をください」を大声で歌った。


いよいよ地平線に日が昇るころ。

そろそろ駅に向かわなければいけない時間が迫っていた。




ふと思いつき、私は波打ち際ギリギリまで歩いた。

そしてその旅でずっと持ち歩いていたグレーの小箱の蓋を開けると、その中の二片のうちの一つを手に取り、打ち寄せる波に流した。


きぬママのお骨だった。


”また来るからね。“


そう告げたとき、日の出がちょうど終わった。


私は駅に向かい、ロンドン行きの電車に乗った。

電車の中、なぜか胸の動悸がずっと治まらなかった。


ーーー

↓前回のお話