2019年12月31日
ロンドンで二日間を過ごし、帰路の飛行機に乗った。
日本行きの飛行機はやはり日本語で溢れていて、なんとなくうんざりした私は、ダウンロードしたきぬママのCDを聴きながら、ドーバーで買ったパウロ・コエーリョのアルケミストを読むことにした。
やがてそのまま寝落ちしてしまう。
すると背もたれの後ろから、うっすらとオペラが聴こえてきた。
え?と思い、眠い頭を起こし後ろを向けど、後ろの人は幸せそうな顔で寝ていた。
オペラを歌うような映画もない。
ダウンロードしたきぬママのCDは童謡で、オペラではなかった。
気のせいと思いすぐに寝直すが、またもやオペラが聴こえてきた。
眠い頭で“やっぱり”と思うものの、今度は頭が重くて起こせない。
するとそれは、どんどんはっきりと大きな音になっていった。
“きぬママ、歌っているんだね“
そう思いながら、そのまま深い眠りについた。
それはドーバーまでの道すがら感じた、あの強い光を音で表現したようだった。
こうして2020年1月1日。
私はこの不思議な旅から東京への家路に着いた。
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↓前回のお話