2019年12月24日
朝、イングリッシュブレックファーストの朝食を済ませると、午前中からミサに参加した。
いずれのミサも聖餐はあっさりいただく事ができた。
しかし持ち帰るというのが難しい。
問題はワインだった。
パンは食べずにこっそり持ち帰ることもできたが、ワインは杯から直接いただく形だった。
私が口に含んで吐き出す以外、持ち帰ることは到底不可能に思えた。
いくつかのミサをハシゴし、夕方、また大聖堂のミサに参加した。
今日は意図せず建物の脇から潜り込んでしまい、かなり前方でミサに参加することができた。
余談になるが終了後、聖堂の出口に向かって人々が列を成していたので、私もその後に付いた。
するとその先は、ハリーポッターに出て来そうな頭がぐるぐると巻かれた杖を持つ、明らかに位が高いと思われる司祭が順番に握手をしていた。
私もちゃっかり握手をしてもらったのだが、この方がカンタベリー大主教であることを私は後で知った。
先日亡くなった、エリザベス女王を弔ったのもこの方だ。
話を元に戻そう。
大聖堂のミサの後、一旦、部屋に戻ると深夜のミサに向けて、仮眠をとった。
昨日のように時差ぼけでフラフラするわけにはいかない。
22時過ぎに起きると、前日ミサに参加した教会に向かった。
クリスマス当日を迎えるミサは、その教会にしようと決めていたのだ。
何かご縁を感じたし、事情も話した。
女性の司祭だったので、もしかしたら融通を利かせてくれるかもしれない。
そんな期待を抱いてた。
深夜の教会に入ると、受付には昨日、ミサを取り仕切った女性の司祭が立っていた。
彼女は私を覚えていて、歓迎してくれた。
ぽつりぽつりと人が集まり、時間になると小さな教会は人で埋め尽くされた。
そしてミサが始まると、なんと式を取り仕切ったのは昨日、私が職員だと思って話しかけた男性だった。
彼には昨日、断られている。
きぬママの写真を持ちながら絶望的な気持ちで聖餐の時間を待った。
ミサの最後、順番に祭壇の前に跪いて聖餐をいただく。
パンが与えられ、ワインの回し飲みになると私は小さな小瓶を出して“please”と懇願した。
しかし司祭は”No“と小さく首を振った。
仕方なく私がワインをいただく。そしてその口で私はきぬママの写真にキスをした。
司祭は可哀想に思ったのか、私に聖水をかけ、続けて小瓶をその聖水で満たした。
ミサは終わり、クリスマス当日を迎えた。
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↓前回のお話




