なおさんとは墓地の最寄り駅でお別れして、私は成田空港へ向かった。
チェックインを済ませ、一息つこうとビールを頼むと、あっという間に搭乗時間である。
颯花さんとのあの不思議な電話。
あれから一週間も経たずして、今、私は想像もしなかったカンタベリーに向かおうとしている。
飛行機の中でこれまでのことを振り返っていると、猛烈な睡魔に襲われた。
ここ数日の睡眠時間は連日、数時間だった。
眠くなるのは当たり前だ。
幸い飛行機はガラガラで、三列シートはすべて私のものだった。
肘掛けをたたみ、靴を脱いでシート全体を使って横になると、意識を失うように眠りについた。
意識を取り戻したのは着陸体制に入るアナウンスだった。
まだ眠い目を擦る。
体感にしたらものの30分で経由地のアビダビに着いた。
アブダビで私はまゆさんにも連絡をした。
まゆさんはイギリスに留学していた経験がある。
もしかしたら、きぬママとカンタベリーの話をしていたかもしれない。
私からの久しぶりのメールとその内容に、まゆさんは驚いた様子ですぐに返信をくれた。
“ちょうどきぬさんのことを考えていたからびっくり。
でもカンタベリーのことを話した記憶はないなあ“
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↓前回のお話