日が変わる前、これまでに調べあげたことの報告と立てた仮説について相談するため、私は颯花さんに電話をした。
“なんか今回の件は、きぬママだけじゃなくてご家族、一族に関わる気がするんです。”
“うん、その感覚、合ってると思う。
それでね、きぬママさんはなにか儀式…
聖餐?をしてほしいって言っているよ。”
“聖餐ってなんですか?”
”私もよくわからないんだけど…
キリスト教でミサの後にパンと葡萄酒をもらうことみたい。
それをもらって来て欲しいって言ってるよ。“
“えっと、つまりそれは...
ミサに出ろってことでしょうか…?”
”うん。それをお墓に持って来て欲しいって。”
“え?
それって、持ち帰れるものなんでしょうか?”
”わからないけど、そうしないと上にいけないって言っているの”
電話を切り、聖餐とは何かを調べると時間は既に0時を回っていた。
聖餐とはキリストの肉をパン、血をワインに例え、ミサの最後に司祭よりそれを分け与えていただくことで、基本的にはその場で食すもののようだった。
ベットに横になっても頭は冴えたままで、無意識に来たる週末の動きを計算してしまう。
それでも目を閉じているといつの間にか眠りにつき、気づけば朝を迎えていた。
2019年12月19日
早朝、颯花さんにメールを送った。
「どんな風に冬休みを過ごせば良いか焦る気持ちでいっぱいなのですが、こんな風に考えました。
◆ご家族に向けた聖餐
→できれば、クリスマスの前にしてあげたいと思っていたら、A教会(祈祷書にあった聖公会の教会)で22日に聖餐がありました。
なので22日に行ってこようかと思います。
◆きぬママのクリスマスミサ
→やはり聖公会、そしてその中心?であるカンタベリーに行ってこようと思います。
きぬママのお墓は成田空港に近いので、22日、A教会の聖餐のあとにお墓参りをして、そのまま出発しようと思います。
カンタベリーのどこの教会かはわかりませんが、A教会でヒントが得られるかもしれない?と思っています。
■その他
何となく必要なピースに、ご家族のお名前、少なくともお父様のお名前が気になっています。
これはなかなか難しいですが、もうちょっと調べてみます。
違和感なければ、航空券取ろうと思います。
ご意見頂ければ幸いです!
朝っぱらからすみませんっ。」
颯花さんから、
「静ちゃん💕
違和感ないですよ😊❤️」
と返信が来たのは昼だった。
その日の深夜、私はアブダビ経由ロンドン行きの航空券を取った。
出発は3日後、22日の夕方だった。
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↓前回のお話