2019年12月17日
“しずちゃん、今、お話しできる?”
羽沢颯花さんからメッセージが届いたのは、なおさんの歌の会から2日後の夜だった。
何か一つ大きな節目を終え、インターバル期間に入る。そんなふうに感じていた。
その時の私はまだ、仕事で犯したミスを引きずっていて、心の曇りを払拭しようと、その週末から年末年始を利用した長期休暇を申し出ていた。
久しぶりに少しのんびりした旅をしたい。
どうやら旅の期間に金環日食が起こるらしい。
日食がバッチリ見れる東南アジアなんてどうだろう?
颯花さんからのメッセージを受け取ったのは、クアラルンプール行きの航空券を取ろうとした、まさにその時だった。
その週末、颯花さんはクリスマスのイベントを控えていた。
彼女にとって一年で一番大きなイベントである。
今、準備に奔走している時期であろうことはよく理解していた。
そんなときに、メールではなく話したい?
メッセージに私は少なからず驚いた。
航空券購入は一旦保留にし、すぐに“大丈夫です”とメッセージを返した。
そして既読になったことを確認すると、メッセンジャーの通話ボタンを押した。
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↓前回のお話