Con te Partiro ーvia Francigenaへの招待状ーvol.28 | ちびタンクのひとりごと

ちびタンクのひとりごと

大好きな旅のこと、心理学・スピリチュアル・ヨーガのこと、日々の気づきなどをつぶやいています♪



新しい病院でもきぬママの帰りたい病は治らず、結局、3月1日に退院した。

前回と同様、日に3回のヘルパーさんが入った。


自宅に戻るやいなや、きぬママはまた神霊療法なるものを取り入れたいと言いだし、私がその取り次ぎ役をした。

効果の程が期待できないのはわかっていたが、少しでも気休めになればという思いだった。


しかしそれは結局、気休めにさえならないとわかったのは、2回目の神霊療法の後だった。

3月末、妖精さんから、きぬママの膵臓癌と肝臓癌が発覚したと連絡がきた。

すぐに手続きが進み、4月4日には再入院した。


年始から始まった連日に渡る関係者との連絡・調整、仕事後・休日の訪問に疲れていないはずがなかった。

それに追い討ちをかけるような癌の通達に、私の無力感はピークに達した。

それは多分、私だけではなかっただろう。


その時ふと、佐治晴夫先生の著作「ぼくたちは今日も宇宙を旅している」が目に止まった。

それはきぬママから頂いた本だった。


物理学者の佐治晴夫先生はきぬママの知り合いで、なんとピアノできぬママと共演されていた。

いつも“とっても素敵な先生なの”とお話を伺っていた方だ。


本を開くと「亡くなっていく人の前では、決して悲しんではいけません。ただただたくさんの感謝の言葉を伝えなさい」という言葉が飛び込んできた。

意識はなくとも、聴覚は最後まで残るのだという。


はっとさせられた。

それまで私はきぬママのために会いに行っていると思っていた。

きぬママのためにしていると思っていた。


だがそれは間違っていた。

私自身のためなのだ。

私が、感謝を伝えるためだったのだ。



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↓前回のお話