次にきぬママと心理学の講座以外で会ったのは、誕生会での宣言どおり、きぬママの家の近くの洋食屋だったと記憶している。
きぬママは京成線お花茶屋駅近くの一軒家屋で一人暮らしをしていた。
心理学の講座は、基礎コースとして前編全4回、後編12回の全16回が設けられていた。
約4ヶ月の基礎コースを終えた後、全24回の研究コースに進むか否かは人それぞれだった。
1科目を受講し損ね基礎コースの修了が遅れていた私とは対照的に、きぬママは順調に基礎コースを修了し研究コースへと進んでいた。
その日はきぬママが研究コースの同期をお誘いした食事会だった。そこになぜか私も誘われた。
ちょうど研究コースに進むか否かについて、時間的・金銭的にも迷っていた時期だった。
100人ほどの同期と学ぶその講座では、毎回、そこでなければ出会うはずもないような人たちとの出会いがあった。
そして自分の心を見つめ、その心を今までには考えつかなかった形で捉え、心に覆い被さった皮を一枚、一枚剥がしていく作業には、常に新しい発見があった。
さまざまな刺激が絡み合い、一種の興奮状態にあったのであろう。
“本当の自分とはなんだろう?”
“なにか私にしか成し遂げられないことがあるのではないか?”
まるで魔法にでも掛かったかのように、そして熱にでも浮かされたように、みんな新しい何かを追い求めていた。
それは研究コースに進んだきぬママも同じで、同期の仲間を自宅近くに呼んだのは、まさにそのメンバーで何かを始めないかという発案からだった。
キラキラと目を輝かせて未来を語る研究コースの面々は眩しかった。
これを機に、私も次の期の研究コースに進もうと決意する。
このようなことを通して、私ときぬママは月に一回程度、きぬママの家に遊びに行く仲になっていった。
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↓前回のお話