「しずさん、こんばんは
ご無沙汰しています。お変わりありませんか?
次の日曜日にきぬ先生の納骨式?があるそうですけど、真由美さんから連絡きていますか?
しずさんから返事がないんだけど、と届いてるか心配なさってました。
なので、念のため。」
イエス様リングと出会い、きぬママを感じてと言われてからたった3日後のこのメールに、もちろん私は驚いた。
きぬママが亡くなったのは1年半前。
お葬式はとっくに済んでいた。
しかしきぬママは自分が死んだら献体に出してほしいと、生前から手続きをしていた。
その希望は叶えられ、きぬママが亡くなるとすぐに遺体は東大病院に運ばれた。
このためお葬式でご遺体を拝顔することはできなかったが、そのお骨がこのタイミングで戻ってきたため、今週末に納骨式を行うというのだ。
真由美さんとは、きぬママのお手伝いさんをされていた方である。
きぬママには従姉妹が一人いただけで、他に親族がいなかった。
その従姉妹も高齢だったので、従姉妹に確認をとりながらも、細々したお世話や手続きは最後まで全部真由美さんが務めてくれた。
きぬママは真由美さんのことを”妖精ちゃん“と呼んでいた。
“この人は妖精のようになんでもできちゃうの。細かいことまで本当によく気がつくのよ”といつも嬉しそうに話していた。
妖精さんは本当に穏やかで誠実な方で、妖精というよりむしろ菩薩のような方だった。
私も妖精さんと呼ばせてもらい、最期は毎日のように連絡を取りながら、一緒にきぬママを看取った。
礼二郎さんからのメールに驚きながら携帯を確認すると、数日前に妖精さんから送られてきたメールは迷惑メールに振分られていた。
少し前に携帯電話が壊れて、アドレス帳がクラッシュしたことで、迷惑メールに振分られてしまっていたのだ。
あのリングは、このことを伝えようとしていたのかもしれない。
慌てて礼二郎さんや妖精さんに返信する。
あわせて私がきぬママと出会うきっかけとなった心理学の仲間にも、納骨式のお知らせをした。
その時あることをふと思い立ち、改めて妖精さんに連絡をとった。
それは、きぬママのお骨をいただけないかという相談だった。
ーーーつづくーーー
↓前回のおはなし