愚痴を聞いた。
その人は派遣社員で、4月からその職が嘱託職員になるに伴い、改めて採用募集に応募したが、落とされたとのこと。
派遣ではあるものの、彼女は3年も前からこの職についていた。
落とされたのは、去年から入ったウマの合わない職員のせいで、新たな雇用もその職員に一任のよう。
そのことが納得いかない、とのことだった。
あなたが悪いのではなくニーズが異なるだけ、とか、
このあと、あなたが巡りあうべき場所が待っている、とか、
そんなにしがみつくほど価値がある職場じゃない、とか、
思いつくままに慰めた。
でも後で思った。
彼女は、職場に残れないことが不満なんじゃない。
ウマの合わない職員に負けたことが不満なんだ。
私の方が長くいたのに、
私の方が他の人とうまくやってきたのに、
私の方が正しいのに、
それを誰も認めてくれないことが、悔しいんだ。
正義は私の方にあるのに。
こんなのおかしい!
こんなおかしいことが罷り通っちゃいけない!
そう、思っているんだ。
後になってわかった。
なぜなら、私も同じことを思ったことがあったから。
私もまだ、その時の感情を昇華できていない。
いまだに許せない人がいる。
だから正しい対処法はわからない。
だけど、その気持ちはわかる。
だから次に彼女とこの話をするときは、
気持ちを汲んであげたい。
“わかるよ、あなたが正しいよ、そんな判断がおかしいよね”って。
私が、そう言って欲しかったんだ。
いつか昇華できたら、こんな時にかける声は変わるだろうか。