蟻地獄の先(世界の旅~ラオス・ビエンチャン編~)第16話 | ちびタンクのひとりごと

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「アンバッサー???」


それはまさに空港の駐車場に到着し,

タクシーが止まったと同時であった。


運転手の携帯電話が鳴り,取った彼が発した言葉である。


「ジャパニーズ アンバッサー?」


私は後部座席から大声で怒鳴った。


彼のつぶやきに,日本大使館からだと察したのだ。


運転席に乗り出し,彼から携帯電話を奪い取った。


「もしもし!?」


の問いに答えたのは,正しい発音の”もしもし”だった。


「こちらの電話から,在ラオス日本大使館におかけになりましたか?」


「はい!!!」


日本大使館からの折り返しだ!!!


「私は,在ラオス日本大使館のNと申します。どうなさいましたか?」


「あのっ・・・!!!」


私は,まくしたてるように今日あったことをかいつまんで話した。


N氏は,黙って一通り聞き遂げるとこう言った。


「それは,ここの所ラオスでよく発生している詐欺の手口です。

彼らはプロの詐欺集団です。

カードはまず間違いなく,既に使われていることでしょう。

まず,カードを止めるのが先決です。」


「はい・・・。

それが,電話番号がわからなくて・・・」


「発行会社はわかりますか?」


「ちょっとわかりません。

VISAとMASTERカードなのですが・・・。」


「わかりました。私が調べてみましょう。

こちらの電話番号に折り返していいですか?」


「いいです!いいです!

問題ありません!」


運転手の了解もなく答えた。


電話を切った私は,運転手に,

お金を払うからもう少しここで携帯電話を貸してくれと頼みこんだ。


彼は事情を察し,”OK,OK”と了解してくれた。


昨日使ったタクシー運転手に送迎を頼んだこと,

空港に着いたギリギリのタイミングで大使館から折り返しがあったことは,

抜け出せない蟻地獄の砂の中で,絶望と言う暗い闇の中で,

唯一の救い,希望の光のように感じられた。


---続く---