9月に入りましたねっ。
9月って,自分の誕生月のせいか,
私にとっては,なぜか特別の気がします。
まだまだ暑い日が続きますが,ちょっとづつ涼しくなるのも,
嬉しいですよね。
さて,物語も佳境になってまいりました。
先日,先輩から,ラオス物語の感想を頂きました。
温かいお言葉を頂き,心がやわらかくなりました☆
なんでこんなことを書いているんだろうと,
自分自身で疑問になることも多々ありますが,
経験も,書くことも,私自身,なんですよね。
意味があるとか,ないとかじゃなくて,
ただある,ただやる,それだけですね。
では,続きです。
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何も知らないタクシーの運転手は,笑顔で私を迎えてくれたが,
挨拶もろくにせず,強張った表情で車に乗り込み,
「ハリアップ」と声を荒げた私の様子に,何かあったと感じ取ってくれた。
「どうしたんだ?」
「トラブルに巻き込まれた。
クレジットカードをなくしたの。
今すぐ日本に電話したい。
だから空港へ急いで!」
「それは大変だ。
よかったら俺の携帯電話を使うか?
国際電話もかけられるはずだ。」
「本当!?ありがとう!」
彼が差し出してくれた携帯電話を奪い取り,
私は先ほどと同じ番号をかけたが,
”ツー,ツー,ツー”
と,回線につながってもいない無機質な音声が流れるだけだった。
そのほかに有益そうな電話番号と言えば,大使館くらいだった。
地球の歩き方には24時間対応と書いてある。
私は迷わず在ラオス日本大使館へ電話を掛けた。
”テュルルルル,テュルルルル・・・”
つながった!
”ガチャっ”
「こちらは,在ラオス日本大使館です。・・・」
機械的な音声が流れるだけだった。
私はがっくりして電話を切った。
なにが24時間対応だよ・・・。
「つながらなかった。ありがとう。空港に急いで。」
うなだれて電話を返した。
運転手は,無言で猛スピードで空港に向かってくれた。
いつも旅では,空港に向かう最後の風景は,
心に焼き付けるよう,意識して眺めるようにしていた。
しかし今回は,駆け抜けるビエンチャンの街を眺めていても,
一向に視界に入ってこない。
頭を駆け巡るのは,
後悔と恐怖と憎悪の,
負の感情が順々にリレーをしているだけだった。
---つづく---