蟻地獄の先(世界の旅~ラオス・ビエンチャン編~)第15話 | ちびタンクのひとりごと

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大好きな旅のこと、心理学・スピリチュアル・ヨーガのこと、日々の気づきなどをつぶやいています♪

9月に入りましたねっ。

9月って,自分の誕生月のせいか,

私にとっては,なぜか特別の気がします。


まだまだ暑い日が続きますが,ちょっとづつ涼しくなるのも,

嬉しいですよね。


さて,物語も佳境になってまいりました。


先日,先輩から,ラオス物語の感想を頂きました。

温かいお言葉を頂き,心がやわらかくなりました☆


なんでこんなことを書いているんだろうと,

自分自身で疑問になることも多々ありますが,

経験も,書くことも,私自身,なんですよね。


意味があるとか,ないとかじゃなくて,

ただある,ただやる,それだけですね。


では,続きです。


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何も知らないタクシーの運転手は,笑顔で私を迎えてくれたが,

挨拶もろくにせず,強張った表情で車に乗り込み,

「ハリアップ」と声を荒げた私の様子に,何かあったと感じ取ってくれた。


「どうしたんだ?」


「トラブルに巻き込まれた。

クレジットカードをなくしたの。

今すぐ日本に電話したい。

だから空港へ急いで!」


「それは大変だ。

よかったら俺の携帯電話を使うか?

国際電話もかけられるはずだ。」


「本当!?ありがとう!」


彼が差し出してくれた携帯電話を奪い取り,

私は先ほどと同じ番号をかけたが,

”ツー,ツー,ツー”

と,回線につながってもいない無機質な音声が流れるだけだった。


そのほかに有益そうな電話番号と言えば,大使館くらいだった。

地球の歩き方には24時間対応と書いてある。

私は迷わず在ラオス日本大使館へ電話を掛けた。


”テュルルルル,テュルルルル・・・”


つながった!


”ガチャっ”


「こちらは,在ラオス日本大使館です。・・・」


機械的な音声が流れるだけだった。


私はがっくりして電話を切った。

なにが24時間対応だよ・・・。


「つながらなかった。ありがとう。空港に急いで。」


うなだれて電話を返した。


運転手は,無言で猛スピードで空港に向かってくれた。


いつも旅では,空港に向かう最後の風景は,

心に焼き付けるよう,意識して眺めるようにしていた。


しかし今回は,駆け抜けるビエンチャンの街を眺めていても,

一向に視界に入ってこない。


頭を駆け巡るのは,

後悔と恐怖と憎悪の,

負の感情が順々にリレーをしているだけだった。


---つづく---