蟻地獄の先(世界の旅~ラオス・ビエンチャン編~)第17話 | ちびタンクのひとりごと

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大好きな旅のこと、心理学・スピリチュアル・ヨーガのこと、日々の気づきなどをつぶやいています♪

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現地の音楽だろうか?

民族音楽風の着信音が鳴りだしたのは,

空港の駐車場で,運転手と沈黙の空間を弄んで間もなくであった。


彼の携帯電話を握りしめていた私は,瞬時に出た。


相手はもちろん,心待ちにしていた大使館のN氏からであった。


「VISAはXXXXXXXXX,MASTERは○○○○○○○○○にかけてみてください。」


「わかりました。ありがとうございます。」


「今晩,帰国なんですよね。」


「はい。」


「クレジットカード盗難の場合,ショッピングでは保険が適用されますが,

暗証番号を使ったキャッシングの場合,ほとんど保険がききません。

現地の警察で届けを出せれば多少変わるかもしれませんが,

それも難しいということですよね?」


「はい。もうすぐここを経ちます。今,空港に居るんです。」


「そうですか。損失は免れないかもしれません。

とにかく,一刻も早く,カードを止めることです。」


「わかりました。いろいろとありがとうございます。」


「何か困ったら,遠慮なく電話してくださいね。」


「はい。本当に,ありがとうございます。」


私は,心からの感謝をこめてお礼を言った。



電話を切ると,日本語のやり取りが一向にわからない運転手は,

”もうそろそろ・・・”と言わんばかりの表情でもじもじと私に訴えてきた。


これ以上,彼の時間と電話代を奪うのは筋違いであろう。

ここは空港。

遠慮なく国際電話を掛けることができるはずだ。



私は運転手にも丁寧にお礼を言い,

小銭しかないラオス紙幣の代わりに,残っていた10ドル札を握らせた。


電話代にしては高額過ぎるとは思ったが,

私にとってこの恩は,10ドルでは安いくらいだ。

感謝の意を伝えたかった。


彼は,予想もしない臨時収入に大喜びで去って行った。




”さあ,問題はこれからだ。”



私はタクシーを降り,空港の建物の中に急いだ。



---つづく---