17日土曜日、静岡県富士市のハウスゾンネンシャイン音楽堂にて、ヴァイオリニスト寺島貴恵さんとの演奏会が無事終了いたしました。
前半の北欧は、まずクリスティアン・シンディングの《カントゥス・ドロリス》から。
シンディングはノルウェーの作曲家で、北欧ロマン派の代表格としてわりと知られているかと思います。
でも、変奏曲の形でとても充実しているこの作品はほとんど弾かれていないようで、もったいないくらいです。
寺島さんもとても気に入っていて、また演奏したいなと思っています♫
次に、デンマークの作曲家・ヴァイオリニストのフィニ・ヘンレゲス(ヘンリクス)によるロマンス、《夏の終わり》。
ヘンレゲスは今回初めて発掘した作曲家なのですが、短くも濃い北欧の夏が終わっていく。。という雰囲気が素敵で、これまた佳曲。
そしてトール・アウリンの、4曲からなる《スウェーデンの踊り》を前半の最後に。
寺島さんと北欧作品を選ぶときに条件の一つにしているのが、「北欧感」です。
メロディなりリズムなり、ハーモニーや音楽の流れなりに感じる「北欧印」を大事にしています。
この作品は、タイトル通りスウェーデン、作曲者アウリンのお国♫
彼もやはり優れたヴァイオリニストで、自分の名を冠した弦楽四重奏団でも活動していたので、ヴァイオリンパートはさすがの筆致なのですが、ヴァイオリンだけがフィーチャーされるのではなくピアノとちゃんとデュオになっています。
そんなふうに楽しく終えた前半のあと、お客様がたは密を避けるためお庭に出てティータイム。
ヨーロッパの夏を思い出すなあ。。としみじみしてしまいました。
後半は、スペインと南米!
まずはフェデリコ・モンポウの《Altitud》から。
タイトルをどう訳すか悩みますが、今のところ「高み」としています。
こちらは、モンポウの数少ない弦楽器オリジナル作品。
きっと皆さま初めて耳にされたことでしょう、浮遊するような不思議な雰囲気を味わっていただけたかと思います。
次は、一気にアルゼンチンへ。
ある方々には大変人気の高いカルロス・グアスタビーノと、今年が生誕100年で盛り上がっているアストル・ピアソラを演奏いたしました。
グアスタビーノは、《ラス・プレセンシアス》(肖像)というシリーズの第7番で、ヴァイオリンとピアノのための作品。「ロシータ・イグレシアス」という人名のタイトルがつけられています。
ほぼピアノが連綿と音楽を作っていくのですが、その流れにヴァイオリンが自然にはまったときの心地良さは格別。
切なく熱いけれど、濃くはなくてさりげなさも必要。
メロディメーカーであり、ハーモニーの進行もツボをおさえたセンスの良さが、グアスタビーノだなぁ〜と感じます。
ピアソラは、傑作で代表曲のひとつ、《アディオス・ノニーノ》。
ピアソラがお父さんを亡くしたときに書いた曲で、8/29の【ラテンアメリカに魅せられて】ライブでも演奏するのですが、こちらは、ピアソラ自身がピアノソロ用に渾身のアレンジを施したバージョンです。
今回のヴァイオリンとの演奏は、短めのアレンジを選びましたが、どんな編成でもやはり名曲。
私も、母を亡くした思いが重なり、何かいつもとは違う感覚で弾いていたように思います。
最後は、ブラジルを代表する作曲家ヴィラ=ロボスのヴァイオリンソナタ第1番。
ソナタ・ファンタジアとなっていて、副題は「絶望」。。
アディオス・ノニーノからの絶望って、偶然ながらできすぎてしまったような流れでしたが、ヴィラ=ロボスのソナタ全曲演奏を目指しての第一歩、よい機会となりました。
アンコールは、「北欧と南欧をドッキングさせよう!」という寺島さんのアイディアにて、ノルウェーのヨハン・ハルフォルゼン作曲の〈イタリアのセレナーデ〉。
まさにイタリア的な、大らかで美しい曲なのに、副題がまさかの「血の復讐」😳。。
イタリアといったらメディチ家的な?!笑
寺島さんも私も「???」と思いながら、書かれた譜面から読み取れる音楽を信じて演奏いたしました。。
演奏会の直前にみた楽譜で、ちゃんとした辞書で意味を深く調べることができなかったので、もしかしたら「復讐」以外の意味があるのかもしれません。?
「Vendetta 」、帰宅したら調べてみます💦
今回、少し分量を抑えたつもりでいたのですが、それぞれが充実した作品で、終えてみればほとんど2時間のプログラムとなり。
6時半少し過ぎに開演で、終演はほぼ9時でした!
富士市近隣だけでなく、島田や浜松、そして遠く埼玉、東京からいらしてくださった皆さま、本当にありがとうございました❣️