まずは小さな村の小さな学校で | しずえばあちゃんの回想録 “We Can Do It !”

しずえばあちゃんの回想録 “We Can Do It !”

教師生活35年、子供3人。
パワフルに生き抜くしずえばあちゃんの
子育て論、教育論、人生論を綴っていきます。

人生の後半で取り組んだ漢字学習についても
情報を発信していきます。かんじクラウド株式会社 http://kanji.cloud

南信州東部地域には、過去に私が出かけていって授業や研修会をした市町村がたくさんある。

諏訪市・伊那市・駒ヶ根市・飯田市の4つの市、辰野町・箕輪町・飯島町・阿南町の4つの町、

南箕輪村・宮田村・泰阜村の3つの村。

どれも人口が少なく小さい行政地区であるのに、各市町村毎に教育委員会がある。

 

今回最初に訪問したのは、泰阜村立泰阜(やすおか)小学校。

村に小中学校が1校ずつしかなく、児童数も少ない小規模校。

以前伊那北小学校でミチムラ式導入に積極的だった先生が、2年前に校長として赴任した。

 

丁度「漢字eブック」が完成した時期だったので、

村の教育委員会に掛け合い、村会議員にプレゼンをして、

この教材を使うとこんな漢字学習ができると熱く訴えてくれたらしい。

すると、全校児童が向こう6年間使い続けられるように、

一人一人のタブレットに6学年分をインストールする予算を取ってくれた。

 

この校長先生と村の教育委員会の動きは画期的なことで、全国に先駆けて導入してくれた。

少人数の学校だからできる動きと決断だったかもしれないが、

人口が少なく、産業の税収も少ない小さな村なのに、教育にかける意気込みはすごいのだろう。

恐れ入りました!

そして、私たちにはとってもとってもありがたいことでした。

 

いつでもzoom研修をしますよ!と伝えていたのだが、

その校長はミチムラ式で指導した経験が豊富にあり、

使い方も児童の湧き上がらせ方も熟知していた。

校長が率先して部首かるたを作ったり、職員への促しもやってくれたようだった。

 

しかし、急に異動することになってしまい、

職員や後任の校長にも道村さんの熱のこもった授業や話を直に伝えたいと3月中に依頼が来た。

 

そして、2年生~6年生まで全クラスで授業をしたのです。

(1年生はまだ漢字学習が始まっていないからね。)

漢字の授業と言えば、どの学年でも同じようなことをすると思われがちだが、

学年によって力説したい培うポイントが違うので、当然話す内容も違ってくる。

(これは後でまとめて書こうと思います。)

 

この学校は、漢字カードを持たずに「漢字eブック」のみで進めている。

これは全国でも珍しいケースで、1年半でどれくらい使いこなせているのかと気になっていた。

部品の覚えは部首かるた等もやっていたことで、よくできていた。

しかし、その先の部品の意味を知って、組み合わせの意味などのおもしろさにまで発展させ、

語彙を豊富にする自学自習の家庭学習の取り組みが、少ないような気がした。

その原因は、タブレットの管理が厳しく、未だに持ち帰れず、

せっかくインストールしたのに、十分に使いこなせていないらしい。

 

私は目の前にいる子どもたちの反応を見ながら、立ちっぱなしで小刻みに動きながら、

アドレナリンが出まくって○○ハイの状態で、大汗をかきながら授業をしました。

 

子どもたちはキラキラした目をして、食いつく、食いつく!

特に高学年は、漢字嫌いとあきらめ気味の子も少なからずいたので、

「このまま中学校へ行ったら大変になるよ~。

小学校高学年の漢字は、とにかく日常生活や

教科書・読書・調べ物・ニュース・情報番組・ドラマなどにいっぱい出てくるんだよ。

それを今制覇しなくていつやるんだ?」

とあおったものだから、ヤバいぞ、このままじゃいかんと真剣そのものに聞き入り、

随所にうなずく反応。

「大丈夫!まだ1年間ある。いや、夏休みまでには必ず復活できるよ!がんばれ!」

というと、さらに大きくうなずいてくれた。

いい子たちだ!良かった、今来てあげて・・・と思った。

 

先生たちもまた、真剣な目で授業を見てくれていた。

放課後の研修会は具体的な質疑応答にした。

宿題の出し方、子どもたちの心を動かす言葉かけ、

先生たちは忙しいんだから、事務的な作業はできるだけ避けて、

子どもたちが自ら取り組めるような仕掛けを考えるだけでいいんですよと。

(こんな話はどの学校でもして、同じような反応だった。)

 

つまり、私は子どもたちや先生たちの心に、

変える勇気とやる気の火をぽっと付けに行ってあげたようなもの。

 

帰りの玄関口で、2年担任の年配の先生はミチムラ式が気に入って個人で購入して、

そこから自分で教材プリントをせっせと作っていると語ってくれた。

熱意ある先生に「そこまで苦労して作ってくれるのはありがたいけど、すごい労力でしょ?

プリントを作ると最後にはそれをやらせなくてはいけない。

私はそれがイヤで、ミチムラ式ではドリル的なものを作っていないんですよ。

2年生なら楽しくさせて、身の回りにいっぱい使われている言葉をみんなで探しまくって・・・

そんなふうに手を抜きながら、先生も楽しんでくださいね。」と話した。

 

また、新卒4年目の若い6年担任の先生は、口元から感動とやる気があふれていた。

「先生みたいな若い人たちはこれからずっと漢字指導をし続けなければいけないでしょ。

それを今回のような子どもたちを沸き立たせ、やる気にさせる術を身につけたら、

高学年の学級崩壊は起こらないし、人気のある先生になりますよ。

今回のミチムラ式との出会いは、先生にとってチャンスだったのではないですか?」

というと、満面の笑顔とやる気をみなぎらせてくれた。

この先生はもう大丈夫だな!と思った。

玄関が見えなくなる校庭の隅までの間、

この先生たちは両手を高く振り上げて、さよならをしてくれた。

 

また来たいなあ・・・

本格的にレントランスで家庭学習でも使い始めてくれる子どもたちの変化や様子を見てみたい。

 

泰阜小学校はすごい高台に立派な校舎が建っている。

教室から見た外の風景は、眼下に少し家があるだけで、遠くの山並みが低く感じた。

休憩時間に外に出てみると、車の音は全くせず、鳥の鳴き声だけが聞こえていた。

 

あ~、大自然のど真ん中だ!私のふる里と似ている。

この大自然のすごさを感じて、理科を専攻したんだったなあ。

この子たちの中にもそんな子がいるのかしら?

 

あっ、学校の昇降口には大谷君がプレゼントしたグローブがありました。

手に取って自由にはめられるようだ。

子ども用だから私の手は入らなかったが、本革の柔らかさがすごかった。

さすが高級品!大谷君、すごいよ君は!!