夏の講演④ 盲学校の授業動画を見てもらう | しずえばあちゃんの回想録 “We Can Do It !”

しずえばあちゃんの回想録 “We Can Do It !”

教師生活35年、子供3人。
パワフルに生き抜くしずえばあちゃんの
子育て論、教育論、人生論を綴っていきます。

人生の後半で取り組んだ漢字学習についても
情報を発信していきます。かんじクラウド株式会社 http://kanji.cloud

この夏の漢字研修から、三つの短い授業風景の様子をプレゼンに組み入れた。

 

講義の基礎編の中で、『部品の組み合わせ』『音訓セットの漢字のタイトル』の有効性を

知ってもらうための短いビデオ三本。

 

2005年に盲学校での漢字の授業風景を、手前でビデオを撮った。

6年生4人・5年生1人で、全盲3名・弱視2名の授業。

この中のよく発言するかんなちゃんが小1に入学した時から、

私の漢字学習の取り組みが始まり、かんなちゃんが進級する度に学年の漢字教材を作り続けた。

 

① まずは、『形がどんどん言える盲児のすごさ』の映像。

この中で、全盲の子たちがクリアに漢字を思い出せるのに比べて、

弱視の子たちは目で見ているのに、いつまでも迷いやぼんやりと覚えてしまう不都合さを感じていた。

漢字を見たことも書いたこともない盲児が、弱視児を主導して漢字を楽しむ様子から、

全盲の子のために開発した『部品の組み合わせ学習法』は、

絶対に見える子たちにも使える!と確信した。

 

『口で言えれば漢字は書ける!』(2010年 小学館発行書籍のタイトルだが)と、

どれだけ説明しても信じてもらえない。

「漢字は書かせて覚えるもの」と思い込んでいる先生方に、

この映像を見てもらって、考えを改めてもらいたかった。

 

 

② 漢字一字を覚えたらおしまい!ではなくて、漢字学習にはもっと先があるのです。

まずは「成り立ちのおもしろさ」から漢字の世界に誘導します。

漢字は意味ある部分がいくつか組み合わさって、一つの意味を表します。

だから、その部分(部首や部品)を覚えれば、漢字は芋づる式につながり、

意味でつながる絶妙な楽しさがあります。

それを見つけた盲学校の子たちは書けることよりも、

「あっ、この漢字もそうだ!」という発見と思い出しを次々としていきます。

 

「育」から「月(にくづき・つき)」の話に発展する「部品でつながる漢字の意味」の映像

すべての漢字の成り立ちをクリアに理解できるわけではないけれど、

楽しい話や納得の話はたくさんあります。

その楽しさに気付いた子たちは、もっと知りたいと思います。

全盲の子は知っている世界が狭いにも関わらず、想像力を働かせて、

意味ある言葉の世界がどんどん広がっていくのを実感しました。

 

この映像の中でかんなちゃんが点字で読んでいる冊子は、

私が作った『視覚障害者の漢字学習』冊子の中の成り立ちの部分です。

全部調べ上げ、子どもたちがそれなりにわかるように文章表現してあります。

これは、「点字学習を支援する会」の仲間と作り上げた宝物だと思っています。

 

 

 漢字は、世界でたった一つの表意文字です。

その意味の楽しさを知って、興味を持った先にはもう一つ大きな課題があります。

語彙を増やすこと、熟語の意味を知り、使えるようにすること。

しかし、漢字には同音異字が多すぎて、

それらを区別して適切に使えるようにしなければならない「漢語の壁」が待ち受けています。

 

そのために「同じ音を持つ漢字の区別」の授業をたくさんしました。

ここがとても大切だと、あの頃も思っていたし、今も思っています。

彼らは、「くやくしょ、くかん、くせん、きんく、もんく、ちゅうもん」などの言葉は聞いたことがあるけど、

どんな漢字が使われているか知りませんし、

その意味の説明に長々と状況説明から始めるなど苦労していました。

だけど、漢字学習を進め、一語一語にどんな漢字が使われているのかを知ると、

意味までもはっきりし出します。

適切に短時間で意味をはっきり捉えられるようになりました。

これが盲学校の子たちには絶対に必要な学習だったはずなのに、

漢字を知らないばっかりに見落とされてきたのです。

 

目が見える文字が読める子たちは、たぶん意味を捉えるのは速いのだろうけど、

意識的にその学習意義に誘導してあげなければ、

面倒くさい一字だけを書いて覚える漢字学習だけでは、

『語彙を増やす!漢字を使える!』世界には入れません!

私はこれを何よりも大切だと考えていて、講演会でも必死に語りかけているのですが・・・

 

 

そんな1,2分程度の授業風景を見てもらいました。

きっと参加者は衝撃を受けただろうし、彼らに感心しただろうし、

漢字学習は何のためにするのかを分かってくれたと思うのですが、

さて、日々の授業となると・・・ここまでできるのだろうかという不安も抱えただろうと思います。

 

でも、こんなに丁寧にやるのは盲学校の子だからです。

自分で調べられないし、町中や本にある溢れるような漢字を目にできないからです。

目が見える子たちは、学び方の意識やきっかけさえ与えてあげれば自ら学び出せるのです。

それが先生たちや親がやってあげるべきことだと思うのです。

 

・・・と、授業風景の写真だけ見せられても困りますよね。

実は「点字学習を支援する会」のHPにこの映像を見られるページがあります。

15年前にUPしたものですが、今でも見られるかしら?(下記にリンクを貼っておきます。)

私のPCでは見られました。

スマホでは映像を見られる拡張子が違っているのか見られませんでした・・・

見たい人がたくさんいれば、いつか社長がうまく直してくれるでしょう。

見られたか、見られなかったか、コメント欄にメッセージを下さい。

 

盲学校での漢字の授業風景

1,2分程度(長くて4分)の映像が7つUPされています。

 

(昨日9/11、この記事を見た人、ページがうまくリンクされていませんでした。すみません。

リンクし直しました。これで、点字学習を支援する会のHPまではたどり着けますが、

肝心の動画が見られるかどうか微妙です。

13年前に私がUPした方法ではうまく見られないかもしれません。

早急に社長に対策を練ってもらいます。)