「ある図案家の仕事」展の訪問、展示と同じくらいお目当てだったのが、この建物の見学。
開館5周年らしい。
1938年に設立された研究施設「公衆衛生院」を改装した歴史館。
設計は内田祥三。
東大の安田講堂でも有名な「内田ゴシック様式」。
正面から。
スクラッチ煉瓦が美しい。
煉瓦一つ一つ色合いが違って、それが素敵。
でも実は当時は色を均一に焼き上げる技術が未確立だったかららしい。
この角の煉瓦がまた!
こんな丸みを持たせた煉瓦、今じゃお目にかかれないですよね…。うっとり。
中央エントランスを入ると、豪華な中央ホール。
建物内をきょろきょろしていたら、スタッフさんが「初めての見学ですか?」「このルートで廻ると効率よく見学できますよ」とリーフレットを下さる。
まずは最上階の6階のホール。
かつては寮として使われていたフロアらしい。確かにエントランスフロアに比べると、装飾はシンプル。
主に講義や実験に使用されていた5階のホール。
4階にはこんな素敵な講堂も。
3階の院長室。床が素敵…。
壁や天井がベニヤ張りで「え、安っぽ…」と思ってしまったのだが、当時ベニヤ材は高価なもので、それが故にこの院長室にのみ使用されたらしい。へー。
中庭にある池。今も水が流れている。
「噴き出さない地味な噴水だなー」と思ったら、これは浄水場の実験施設だったのらしい!
水道局職員等の衛生技術者の養成も、この公衆衛生院の重要な役割の一つだったとか。
上下水道の環境整備により、乳幼児死亡率の低下に繋がったそう。
そもそもこの公衆衛生院は、関東大震災をきっかけに公衆衛生活動の重要性が認識されたのが設立のきっかけ。
この建物は2002年に「国立保健医療科学院」として統廃合され、埼玉の和光市に移転するまで使用されていたのだとか。
20年前まで現役だったのねぇ。
因みにお隣の東大医科学研究所(旧伝染病研究所)も内田祥三の設計。見学は自重したが、こちらは今でも現役で使われているというのは胸熱。
昇降機の表示。
「運転中ハ釦ヲ押シテモ無駄デス」にじわる。
一通り見学の後は1階にあるカフェ「ベジタブルライフ」でランチ。
このカフェは八芳園がプロデュースしているそうで、ぜひ寄りたかったのよね。
トスカーナ風牛肉のペポーゾ(¥1,300)+セットドリンク(¥220)
メインメニューは月に2回変わる模様。
ペポーゾって初めて食べた。
一見するとドミグラスのような色合いなので、甘みがあるのかと思ったらさにあらず。
爽やかな酸味と香味があって美味しい!
あとで調べたところ、この「ペポーゾ」とは牛肉を赤ワインと粒黒胡椒で煮込んだトスカーナ地方の料理だそうな。これは家でも作ってみたい。
お料理はどれも美味しかった。
けど、温かいものも冷たいものも一緒盛りになるワンプレートはやっぱり苦手だな。
この日見た特別展はこちら。
建物の見学だけなら無料で入館出来ます。
警備の方もスタッフさんも、挨拶や声掛けが明るかったのが印象的。
朝9時から営業しているらしい。
何気にこの辺り、気軽なカフェが少ないので貴重かも。