世界最大の出力を誇る、
「柏崎刈羽原子力発電所」
私の住むこの場所から比較的近いところに位置しています。
富山県寄りの私の家から新潟方面を目指して海岸線を走ること約40分。
段々と、大きな原子力発電所が見えてくる。
松尾芭蕉の奥の細道でも謳われた、風光明媚なこの界隈。正直、そこに原発は、につかわしくない。
そんなことを思ってしまうのですが、とにもかくにもこの原発。
度重なる事故や不祥事、さらには毎度お馴染みで、飽き飽きするくらいの隠蔽体質。
これらを繰り返してきたことが理由で、原子力規制委員会から事実上の
"運転禁止命令"
を受けていたのがこの間の経緯。
でもその禁が解かれたのが昨年末。これで再稼働に向けた下準備は全て整う運びとなりました。
いよいよだな、私としてもそんなことを思っていたわけなのです。
でも、この事態に待った!をかける出来事が、2024年の元旦に起こりました。それが何かといえば、
「能登半島地震」
この地震により石川県の志賀原子力発電所はさまざまなトラブルを引き起こしてしまいました。
※参考:『沈黙は金なり?真相はダンマリの中にの自然派政治経済推進考!』
このことで柏崎刈羽原発の再稼働はより困難になったであろう。そんなことを密かに思っていた次第です。
でもこのたび、地元の刈場村村議会が原発の即時再稼働を求める請願を採択したとのニュースが報じられました。
※参考:『新潟 刈羽村議会 柏崎刈羽原発の早期再稼働求める請願を採択』
村議会議員11名の内、賛成は8人。賛成理由は、原発あっての刈羽村。
このまま原発を動かさないままでいると、地元経済は完全に干上がってしまう・・・。
要約すると、こうした理由であることが報じられていたのです。
ゾンビのようにしつこく粘り強い。それが国及び東京電力の変わらぬ姿勢なのですが、直近の地震と事故。さらには3.11の福島原発のメルトダウン事故。
そしていまだ物議を醸し続ける処理水こと、放射能汚染水の海洋放出。
こうした種々数多の問題をものともすることなく、柏崎刈羽原原発は再稼働への道を順調にヒタ走っているように見受けられる・・・。
本当にイヤになり、気持ちがすっかり滅入ってしまっているのが、現在の私の正直な感想です。
国及び東電は、どうしてこんな危険な原発をそこまでして動かしたいと思うのか?
その答えは、以下の4分程度の動画をご参照頂ければ明らかになります。
※参考:
原発推進派はこれまで安全安全、絶対安全!こんな具合に根拠のない"安全神話"。
これをひたすら振りまいては来たのですが、度重なる事故やトラブル。そして決定打であったはずの福島原発のメルトダウン、及びメルトスルーにまで至った悲惨な事故。
安全神話は脆くも崩れ去ってしまいました。そしてすべては想定外の事態であったからとの理由で、誰も責任を取ることなく無罪放免。
そして安全面での配慮と具体的な対策を施したからという理由で、柏崎刈羽原発の再稼働が行われようとしているのです。
新潟県知事は国や東電からの説明を受け、その上で私の意見を公にした上で、県民に信を問う。
このように発言しているのですが、おそらくは再稼働へと舵を切ることになるのでしょう。
※参考:『柏崎刈羽原発の再稼働 花角知事「信を問う方法が最も明確」』
信を問うと言った以上は、県知事選挙を行うのが筋なのでしょうが、本当に実施されるのかどうか?
原子力推進は日本国の国是である。そんな感じで選挙をすっ飛ばしてしまう可能性が高いのではなかろうか?
そんなことを思い、ますます憂鬱になっているのが私の現状です。
■事故がなくても!
国も東電も、その周りを囲むお抱え学者の面々も。
原子力発電所が極めてキケンなことくらい、おそらく百も承知で分かっているのでしょう。
それを押してでも原発を推進しようと思うのなら、何らかの対策が当然必要になってくる。そこで採られた対策はといえば、都市には決して原発を
「作らない」
田舎の過疎地を狙い撃ちして、次々に原発を立地していく。その数、合計で54基。
札束でほっぺたをペンペンすれば、危険かつ不気味な迷惑施設であっても受け入れざるを得なくなる。
先に紹介した動画では、こうした本音が露骨に吐露されているのです。
また2017年4月末に当時の今村雅弘復興相は、東日本大震災の被害について
「まだ東北、あっちの方でよかった。首都圏あたりだと莫大、甚大だったと思う」
と語った過去も忘れてはならないことだと思います。
都市に原発を作れば、必然的に大勢の人たちが問題を認識することになります。
反対運動が盛り上がれば、原発政策の見直し。そんな事態に追い込まれざるを得なくなる。
でも、人口の少ない田舎の過疎の村であるならば、その声はどうしたって弱くて小さなものにならざるを得ない。
声が挙がらないようにと、前もって札束を掴ませておけばその声を最小限に抑えることだって可能になる。
小さな声はいつだって無視されやすい、それが人の世の常ではないかと思うのです。
原発にひとたび事故が起これば、その被害と影響は計り知れないものとなる。これは誰もが知っている常識です。
でもたとえ事故が起こらなくても、原発を動かしている。もしくは過去に動かしていた。
ただそれだけのことで、被害は何世代にもわたって続く結果を招いてしまいかねない。
原発の排気塔から上空に向けて排出される煙の中には、微量ながらも気体放射性廃棄物が絶えず放出され続けている。
原発が稼働していようが停止していようが、常に人工の放射性物質が周囲の環境に降下し、辺りを汚染し続けてしまう。
稼働中の原発からの気体放射性廃棄物は多くなり、停止中は少なくなる。さらに原発から見て風上は影響が少なく、風下の影響は大きくなる。
「内部被ばく」
の問題です。空気の中の放射性粒子を肺に送り込んでしまったり、水や食べ物からそれらの物質を体内に摂り込んでしまう。
こうして私たちの体の内部からダメージを与え続けてしまうのです。
このことは、前回も紹介した千葉大学名誉教授の故・市川定夫氏のムラサキツユクサを用いた数多くの実験結果から明らかになりました。
ムラサキツユクサは青色の花のおしべにたくさんの青い毛が生えているのですが、細胞の中の遺伝子が被ばくすると突然変異を引き起こす。
通常は青い毛であるはずのものが、ピンク色に変色してしまう。
日本及び、世界各地の原発周辺で実験を繰り返してみたところ、同様の結果が認められるに至りました。
平常時、もしくは停止中の原発の排気塔から常時放出され続けている人工放射性核種。
ムラサキツユクサのおしべの色が、この存在を教えてくれたというわけです。
■低レベルの真相は?
この現象はムラサキツユクサだけに起こるものではありません。当然ながら、人体においても同様の事態がみられるのです。
琉球大学名誉教授の矢ケ崎克馬氏は『内部被曝の考察』という論文の中で、原発周辺に住む子供の歯の中の「ストロンチウム90」。
ストロンチウム90は原発から放出される人工の放射性物質なのですが、この含有量は原子力発電所の年間稼働率上昇とともに直線的に増加している事実が明らかにされています。
そして小児ガンの発症率と小児の歯の中のストロンチウム90の含有量の増減は、ほぼ一致している。
体内に取り込まれたストロンチウム90から放射されたベータ線が、小児ガンを誘発していることが分かるのです。
また自閉症の小児数は発電量に強く依存していることも併せて示されています。
甲状腺機能低下症も同様で、原発の排気塔から放出された人工の放射性物質の「ヨウ素131」。
この物質が体内に取り込まれてしまうと甲状腺で濃縮され、そこからベータ線が放射されていく。
放射性物質の内部被ばくがいかに深刻であるかが分かるのです。
原発の排気塔から放出される気体放射性廃棄物のレベルは極めて小さなものではありますが、原発周辺のありとあらゆる生きものを内部被ばくの恐怖に晒し続けてしまうのです。
"基準値以下だから安全"
"ごく微量で低レベルだから安心"
国や東電、そしてお抱え学者の面々は口々にそう述べているのですが、そういうことには決してならない。
それは処理水こと、福島原発から海に放出されている放射能汚染水だって同じこと。
やはり原子力と人類とは決して同居することができないはずのもの。柏崎刈羽をはじめ、原発の再稼働を許してはならない。
私はそう強く思っています。
■参考文献