「人工か?天然か?」
自然食及び、なるべく自然な生活を志す私たち。
そんな私たちにとって、この問題はとても重要です。
よく化学調味料のグルタミン酸も、昆布や野菜などの旨味成分のグルタミン酸も、どちらであっても
「同じものである」
こうしたことが言われているのですが・・・。
でも、昆布に含まれているのは正真正銘の「グルタミン酸」。一方の化学調味料のそれは、
「グルタミン酸ナトリウム」
グルタミン酸に水酸化ナトリウムをくっつけたものが化学調味料。
水酸化ナトリウムをくっつけることで、水に溶けやすい性質を持ち、調味料として使い勝手が良いものへと変化させることが可能になる。
似ているようで、実は違うもの。そういわねばならないと思う次第です。
またこのブログで何度も触れているのですが、化学調味料は「発酵法」という製造方法で作られています。
発酵法とは、グルタミン酸を産出する能力が高い。そんな菌たちを自然界から探してきて、そこに人工の紫外線。
これを照射するなどして、菌に突然変異を誘発させていく。
突然変異を起こさせることで、さらにグルタミン酸生成能力を最大限に引き上げよう。こんな具合に天然の菌たちを化学的に操作しています。
グルタミン酸生成菌を人工的に作り上げるといった工程を踏むのです。
こうして操作されたグルタミン酸生成菌を今度は、乳糖、ブドウ糖、ミネラル剤、ビタミン剤などの培養液に浸して増殖させていく。
かくして大量のグルタミン酸が作られることになるのですが、菌には一番外側に「細胞壁」。その内側に「細胞膜」。
この2つの防御機能が備わることで、生命を維持しているのです。
大量に作り出されたグルタミン酸を取り出す際には、この細胞壁と細胞膜とがどうにも邪魔になってしまう。
そこで行われる方法が、
「ビタミン制御」
といわれるもの。ビオチンというビタミンをエサに与えないことで、菌の中からのグルタミン酸の取り出しが容易なものになっていく。
『紫外線照射⇒化学培養⇒ビタミン制御』
主に3つの工程を踏むことで、化学調味料のグルタミン酸は作られているというわけです。
でもこうして作られたグルタミン酸だけでは正直、旨味が弱くて乏しい。製品としては実に中途半端なものになってしまう。
そこで水酸化ナトリウムをグルタミン酸に結合させることで、強い旨味を引き出すことが可能になる。
さらに水に溶けやすく調味料としての使い勝手も良くなるので、まさに一石二鳥!
グルタミン酸ナトリウムは、このようにして作られているのです。
化学調味料のグルタミン酸と野菜や昆布のグルタミン酸とが、本当に同じものなのかどうなのか?
何やら、ドラえもんみたいなアダ名の人が"どちらも同じ!"だなんて大きな声で言ってはいるのですが、私には似て非なるものにしか正直、思えない。
化学調味料の有害性を明らかにした医学的データはたくさんありますが、その反面、有害性を否定したデータだってあることも事実。
どちらが正しいのかを判断するのは、あなた自身。こういうことになるのではないかと思うのです。
このブログにおいては、判断に迷った際は自然界を基準にしてみることを推奨しています。つまるところ、
「自然か?不自然か?」
化学調味料などは明らかに不自然であり、反自然な産物としか私には思えない。ゆえに私は使わない。
このように思い、日々実践を重ねているのです。
■適応する力!
自然の放射線と人工の放射線。
これも同じで、よくいわれている事がらになります。
主に原発推進派の面々は、ことさらにこの点を取り上げ強調している。
曰く、放射線による人体被ばくは仕方がないものだ。
でも人類はこれまで自然界からの被ばくをずっと受け続けてきたわけだから、少しくらいは止むを得ない。
こんな風にして原発稼働を正当化するかのような文言を繰り返しているのです。
自然だろうと人工のものだろうと、放射線には違いはない。だから原発からの放射線だって容認されてしかるべきもの。
こんな風に強調して止まないのです。
確かに自然の放射線も、人工の放射線も放射線においては違いはない。
でも自然の放射線に対して地上の生きとし生けるものは長い歩みの間において、それに対する
「適応力」
を培うことができてきた。自然界からの放射能を受けても生命を元気で健康に、維持拡大できるようにと自らを作り上げてきた。
このように説明されるのです。
自然界からの放射線、生命がその影響を最も受け続けているのが
「カリウム40」
この物質になるのでしょう。
カリウムは農業における三大肥料の一角を占める窒素・リン酸・カリでもお馴染みの物質。
植物にとって大切であるのと同時に、私たちの体にとってもカリウムは絶対に欠かすことができない大切な物質。
カリウムとナトリウムのバランスなんていわれますが、カリウムなくして私たちは生存することさえも叶わない。
極めて大事な物質といえるのです。
でもカリウムという非放射性の物質には、概ね1万分の1の割合で放射性物質のカリウム40を含んでしまっている。
カリウムは欠かせない物質ではあるものの、0.01%の割合で放射性物質が混ざり込んでしまっている。
カリウム40は主にベータ線を放射するのですが、この物質が体内に入ると臓器などに至近距離から放射線を照射しダメージを与え続けていく。
「内部被ばく」といわれますが、カリウム界の異端児であり、厄介者。そんな物質がカリウム40。
カリウム40は実に厄介な物質なのですが、でも人類、及び地球上のあらゆる生物はこの物質に対する適応力を養ってきました。
適応できない限り、放射線の内部被ばくで絶滅していたはずなのですから。
人を含めた地球上の生命が身につけてきた適応力とは、とにかくカリウムを体の中に
"溜め込まないこと!"
新たにカリウムが入ってきた分だけ出ていく仕組みを作り上げたこと。
カリウム40という放射性物質が0.01%の割合で混ざっている。
このことを理解した体は、カリウムを体内に留めることなくドンドンと入れ、ドンドンと排出するといった方法でこの事態に対処した。
カリウムという物質は体内に入るスピードと出るスピードとが一緒で、私たちの体の中にそれを蓄える器官も臓器も存在しない。
それは人のみならず、植物も同じで、動物も微生物に至ってもみんな同じ。もし蓄えてしまうようなら、長い歩みのどこかで淘汰されてしまっていたはず。
埼玉大学名誉教授で放射線遺伝学専門の故・市川定夫氏はこのように説明するのです。
※参考動画:『天然放射能と人工放射能は違う!』
人体に入ったカリウムの7割~9割は尿として体外に排出され、残りの1割~3割は汗や便となって排出されていく。
体は欠かせない物質のカリウムを体内に留めず、循環させるといった方法で利用していく。
こうすることでカリウム40からの被ばくの影響を最小限に抑える。
自らの体に工夫を施すことで、自然放射線の害から体を守るように適応してきた。
市川氏はこの点を強調しているのです。
■似て非なる!
でもこうした素晴らしいシステムを無効にしてしまう。そんな厄介な物質が存在します。
それが何かといえば、原子炉の中で人工的に作り出される
「放射性セシウム」
と呼ばれる物質です。
3.11の地震により福島原発はメルトダウンを起こしましたが、その際に連日ニュースで報じられていた物質が放射性セシウム。
化学的にはセシウム134、137なのですが、これがカリウムと実によく似た化学的性質を持っていることが指摘されるのです。
体は常にカリウムを必要とするため、よく似た放射性セシウムをカリウムだと勘違いして体内にドンドンと摂り込んでしまう・・・。
よく似ているので、間違って摂り込んだ放射性セシウムであってもカリウム同様に、尿や汗からドンドンと体の外に出していく。
それでもそもそもは違う物質であるため、カリウムに比べてセシウムの排出能力は少し劣ってしまっている。
セシウムが100入ったとすると95は排出されるのですが、残りの「5」くらいはどうしたって体内に残留してしまうといったイメージ。
こうして環境中にバラまかれてしまった放射性の人工セシウム。これを微量ながらも次々に溜め込んでしまうのです。
生きものはカリウムの排出能力には長けているけど、セシウムはちょっとだけ苦手・・・。
こうして体内に溜め込んだ放射性セシウムが体を次々に攻撃することになっていく。
前出の市川氏はこの点に警鐘を鳴らしているのです。
福島原発の事故の際には、放射性セシウムと同じで放射性ヨウ素についても、連日報じられていました。
カリウム同様に、ヨウ素も人体にとっては欠かすことができない大切な物質です。
ヨウ素は人体を健全に運営するためのホルモンを作り出すのに必要な物質で、主に喉の辺りの甲状腺。
この場所にヨウ素は集められ、蓄積されていくのです。
特に乳幼児や小さな子供たちにヨウ素は欠かせない物質。健全な発育に不可欠な「成長ホルモン」。
これを盛んに作り出すために、ドンドンとヨウ素を摂り込み、甲状腺に蓄積していくことがいわれているのです。
もちろん子供のみならず、大人にとってもヨウ素は大切な物質です。
かつて日本軍が中国大陸に侵攻した当初の頃、「ヨウ素欠乏症」に悩まされたことが言われています。
そこで塩昆布やワカメなどを持たせたのですが、海藻類にはたくさんのヨウ素が入っていることが理由です。
ヨウ素欠乏は皮膚の浮腫、声がれ、精神機能障害、皮膚の乾燥からのウロコ状態。
毛髪が硬く薄くなる、耐寒性の低下等々。妊婦なら流産、死産の危険性が上昇する。
このように解説されているのです。
■休みなく着々と
このように私たちの健康にとってヨウ素は欠かせない物質なのですが、自然界に存在するヨウ素はすべて非放射性のものになります。
でもそこに原子炉内で人工的に作り出された放射性物質の
「ヨウ素131」
などが環境中にバラ撒かれていたのなら、どうなるか?
体は放射性のヨウ素と非放射性のヨウ素との区別ができないものだから、放射性のヨウ素131。
これをも集め蓄積し、甲状腺に濃縮していくことになります。
放射性のストロンチウム90も原子炉内部で人工的に作り出された物質ですが、この化学構造はカルシウムに似ていることがいわれます。
よって体は区別がつかずに、放射性のストロンチウム90をも集め、骨の材料にしてしまう。
こうして骨の中に紛れ込んでしまったストロンチウム90は、至近距離から骨にダメージを与え続けることになるのです。
たとえ微量であっても24時間365日、休むことなく体内で放射線を発生し続け、人体にダメージを与え続けていく。
ストロンチウム90の半減期は28.8年といわれますが、産後すぐに被ばくした赤ちゃんの骨の中で半分になるのは約30歳の頃。
それでもまだ半分は骨の中に残り続けることを意味しています。
放射性のストロンチウム90の内部被ばくにより、骨腫瘍や白血病のリスクが高まる理由はこのように説明されるのです。
天然のセシウムも天然のヨウ素も、天然のストロンチウムも。いずれも非放射性の物質です。
それらが入ってきたところで体は何にも困らない。
でも原子炉の中で人工的に作り出されたヨウ素もセシウムもストロンチウムも、いずれも放射性の物質。
昔からあるカリウム40やラドンのような天然自然の放射性物質に対する適応力は備わってはいるものの、人工の放射性物質を見極める力は人体には何も備わってはいない。
たとえ微量であっても体の中に摂り込んでしまえば、四六時中、攻撃に晒され続けることになるのです。
微量だから、ちょっとだから、基準値以下だから。こうした言い訳はおよそ放射性物質に対しては
「無効である!」
こういうことではないかと思うのです。
原発推進派は自然界にも放射線があるのだからと頻りに強調するのですが、人工と自然の放射性物質。
それぞれの核種が人体の中でどのように挙動しているのか?についてはほとんど触れられることがありません。
そして福島原発の燃料デブリに直接触れてしまった汚染水。これを基準値以下まで処理したから!
そんな具合に、セシウム137やストロンチウム90を含んだ「放射能汚染水」。
基準値以下であるとはいえ、完全に取り除き切れていない。そんな汚染水を向こう30年にわたって海に流し続けるといった「海洋放出の問題」。
それはあまりに愚かな行為といわねばなりません。
人類と原発とは共存できない、改めてそう思うばかりです。