ガラス玉なら、
「1個10円」
でも高い。でも、最高グレードのダイアモンド1カラットなら50万円でも安い。
このように高い・安いは、見た目の価格では判断がつきにくいもの。
モノの中身こそ、問われなければならないものといえるのです。
安いものには安いなりの理由がある。このブログで再三お伝えしている事がらです。
"良いものをより安く!"
そんなことが言われたりもしますが、それは実際には起こりにくいことでもあるのです。
高い・安いではなく、適正か否か?を考えることの方が大切。
その方がより自然でムリがないといえるのです。
■面倒!?
「肉や油」
スーパーに行けば、安い肉も安い油もたくさん売られていますが、でも本来、肉も油も
"安いはずがない!“
こうしたものといえるのです。
どちらも商品として売られるまでには、実に面倒な手間ひま、長い肥育期間。
これらがどうしてもかかるものだからです。
油でいえば、古来より伝わる抽出方法は「圧搾法」と呼ばれるもの。
圧搾法はかつては当たり前の製法でしたが、今ではこの方法で抽出するメーカーはかなり稀少になりつつある。
工程に手間がかかり、ロスも出やすいことから圧搾法は廃れつつある製法といえるのです。
その工程をザッとみておくと、油の元になる、菜種やゴマなどをまずは最初に焙煎する。
その上で、石臼などの圧搾機を使い圧力をかけることで、油分を絞り出すのです。
その後、湯洗い、沈殿と工程を進めていき、不純物を取り除くためにお湯で攪拌していく。
こうして3日ほどかけて、上澄み分を取り出し、火入れを行うことで、水分などの不純物を完全に取り払う。
こうした工程を重ねていくのです。
そして和紙などを使ってろ過を行い、ようやく製品化されていく。
実に手間ひま、面倒な工程を重ねることで、1本の油は作り出されているのです。
では、もう一方の安い油の方はどうなのか? というと・・・、
多くの薬剤を駆使して抽出されています。今は
「ヘキサン抽出法」
といわれる製法が主流なのですが、ヘキサンは汚れ落としの「ベンジン」から派生する石油系の薬剤。
ヘキサンは消防法において、劇物指定されている物質・・・。安い油はこんなものを使って作られているのです。
ヘキサン抽出法は菜種などに含まれる油分を余すところなく根こそぎ抽出できてしまう。
圧搾法だと、どうしてもロスが出やすいのですが、ヘキサンなら原材料から搾れる限りの油を取り出すことができるのです。
もその反面、ヘキサンを使うと油の色が黒ずんでしまう。ニオイいも強烈なものになってしまう。
そして劇物のヘキサンが微量ながらも油の中に、残留してしまう。こうした心配も指摘されているのです。
黒く澱み、ニオイも強烈。どれだけ値段が安くたって、そんな油を誰も買うはずがありません。
そこで、黒ずみやニオイを隠すためのお化粧、
「脱色・脱臭処理」
が加えられていくのです。
また圧搾法と同様に、安い油にも不純物が残留します。
それを取り除くために使われる薬剤が「リン酸」。さらに遊離脂肪酸の発生を防ぐための中和薬として使われるのが劇薬の「苛性ソーダ」。
さらに酸化による品質劣化を防ぐために、油を化学の皮膜で覆ってしまう。そのための人工物が、
“シリコン”
このように多様な薬剤を駆使することで、安い油は作られている。
私などからしてみれば、とても食材と言えるようなものではない。
どう見ても、工業製品にしか思えないのですが、あなたはいかが思われるでしょうか?
私たちはこのようにして作られた油を
「安い!」
と喜んで毎日使っているのです。
■肉になるまで
これは
「肉」
も同じです。肉として私たちの食卓に上ってくるまでには、長い肥育期間が必要になります。
牛ならば最低10ヶ月、豚は6か月、鳥は2カ月。
少なく見ても、このくらいの時間はかかるものなのです。
豚肉でいえば、これに妊娠期間の4か月を加えて、都合10ヶ月。
"時は金なり"なんて言いますが、畜産業は実に時間のかかる。そんな産業といえるのです。
しかも肉質を良くするために、エサもたくさん必要になります。1キロの肉を作り出すのに、必要となる穀物の量は
「牛肉は11キロ・豚肉7キロ・鶏肉4キロ」
エサにかなりの量の穀物飼料が必要となるのです。
このように長い時間をかけ、たくさんのエサを食べさせ、ようやく肉となって売られるものが安いはずがない。
安く売るには売るなりの、私たちから見えにくいさまざまな仕掛けがあるものなのです。
その1つが「抗生物質」。
いまの畜産業は薬剤漬けの現状がありますが、中でも抗生物質はよく使われる必須の薬剤といえるのです。
抗生物質を家畜に与えると、肥え太らせることができるのです。
その歴史はかなり長く、半世紀以上にわたってたくさんの抗生物質が畜産業で乱用され続けている。
1頭の家畜からたくさんの肉を得るための必須アイテムになっているのです。
■輸入肉の問題点
また日本では使用禁止となっていますが、海外産の輸入肉には
「成長ホルモン剤」
もたくさん使われています。
成長ホルモン剤の多投が、ガン患者を増やす原因になっていることが分かったヨーロッパ各国は、アメリカ産・オーストラリア産の肉を輸入禁止にしているのが現状です。
ロシアもこれに続いているのです。
肥育期間の長い畜産業においては、できるだけ早く肥え太らせて、素早く現金に換える。
こうした経営上の都合がありますが、その際のお助けツールが、
「抗生物質と成長ホルモン剤」
この2本柱で肥育するのが輸入肉の現状です。
また、飼料に使われる遺伝子組み換え作物の問題も無視できないわけなのです。
輸入肉は安くて、家計にはありがたい面もあるのですが、安全性の問題を思うと、やっぱり不安がつきまとう。
安いから良い!には決してならないというわけです。
また、外食産業、お弁当、総菜、冷凍食品においては
「結着肉」
の問題があります。結着肉、調整肉とは、安いクズ肉や切れ端などをミンチ状にして、成型処理を施した肉のこと。
精肉としては、とても売り物にならないような肉を寄せ集め、調味料や油脂、そして食品添加物。
これらを混ぜ合わせることで、あたかも普通の肉のように見せかけたものをいいます。
牛肉のステーキやサイコロステーキについては以前も述べましたが、意外に多く使われているのが、トンカツ。
トンカツ肉は結着肉であるケースが少なくないのが現状です。
トンカツやカツ丼、カツサンドなどに使われるのですが、衣サクサク!中ジューシー!
柔らかく食感も味も良く、高級豚肉と見誤るようなものが多い。
でもその中身を辿っていくと、寄せ集めの肉。そもそもが寄せ集めなので、柔らかいのは当たり前。
さらに柔らかくするために軟化剤などが使われることもあるようです。
ジューシーさや旨味は、油脂を使えば簡単に作り出すことができる。
油脂なんていうと天然・自然のものかと思ってしまうのですが、実際は、
「水、国産の牛脂、水あめ、食塩、寒天、乳たんぱく加水分解物、複合エキス、発酵調味料、調味料(アミノ酸等)、安定剤(加工デンプン)、増粘多糖類、pH調整剤」
こうしたもの。
肉なのか?添加物なのか?、よく分からないのが現状。そういわねばならない面があるのです。
■本当は激高!?
型を使ってキレイに調整されるので、大きさも均一にすることができる。
こうしたことから、お弁当やお惣菜、サンドイッチなどで重宝されている。
使うお店の側からすれば仕入れ値が、何と言っても、
「格安!」
どこまで行っても、クズ肉と添加物のカタマリに過ぎないからです。
牛肉のステーキなどは注意深くよく眺めれば、結着肉とスグに分かります。
一枚肉のように肉の繊維が一定にはならず、ハンバーグの断面のようなおかしな断面になるからです。
でも、カツ丼やトンカツの場合は、衣をまとって、ヘキサン抽出油で揚げてしまう。
外見からはバレにくくなるのです。
味も濃厚ソースなどをかけるのが常なので、よく分からなくなってしまう。このようなモノが
「激安でお得!」
「満腹保証付き!」
「ボリューミーでこの値段!」
こんな感じで、普通に出回っているのです。
激安トンカツやカツ丼、弁当や総菜などは大いに疑ってかかる!べきなのでしょう。
さらには肉の割合をできるだけ少なくして、
「小麦粉やパン粉、大豆、乳タンパク」
こうしたものでカサを増やしているケースも見られます。
肉さえも使われていない、添加物まみれのトンカツが果たして本当に“激安!”と言えるのかどうか?
中身の粗悪さを思えば、激高!なのが本当ではないかと思っているのです。
このように、トンカツといえども、
「本物とニセモノ」
の2種類が存在している。
ニセモノでも構わない!という方に、これ以上申し上げることもありませんが、そうではないのなら注意が必要です。
西洋人と違って、日本人にとって肉はどこまで行っても、副食・おかずに過ぎないものなので、できれば抗生物質や成長ホルモン剤
"不使用"
の良質な肉を少量頂く。このような食卓の姿に戻せればよいなと思っています。
動物性のタンパク質を摂るなら、旬の魚を選んだ方が、お得で安心。
モノの価値は中身にこそある。油を買う際は、値段にダマされず、
「圧搾法」
と書かれたものをきちんと選びたいものです。